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事例紹介

百貨店や専門店などの小売業はどこも不況の影響で売上げの減少に苦しんでいるが、衣料品や雑貨類の通信販売を展開している通販会社のA社は堅実に売上げを伸ばしている。消費者の多様なニーズやライフスタイルの変化に対応した適切なマーケティングやマーチャンダイジングの取り組みが奏功して、同社の売上げは不況期にも関わらず好調である。

しかし、そんなA社も深刻な悩みを抱えている。それは通販会社にとって顧客との唯一の接点(コンタクトセンター)であるコールセンターになかなか良い人材が集まらないことだ。自前の店舗を持たない通販会社にとって、コールセンターは百貨店やスーパーなどの大型店舗に匹敵するほど重要な存在である。通販会社への商品の注文はほとんどコールセンターを経由して行われており、オペレーターの顧客対応がそのまま会社のイメージや信頼、顧客満足度に直結する。そのため、どの通販会社もオペレーターの人材確保と研修教育に力を注いでいる。しかし、コールセンターというと非正規社員や派遣社員が多く、仕事がきつくてストレスが多い、といったマイナスのイメージを抱く人も少なくない。そこで、A社の社長は「コールセンターは通販会社にとって営業最前線である。そこに良い人材が集まらないと当社の将来も暗い。これまで人材派遣やアルバイトに頼ってきたが、会社の将来を考えてこれからは正社員化への道を開き、人材も外部に頼らず自社で育てていこう」と決断した。

同社は最近、コールセンターを「コミュニケーションセンター」、オペレーターを「コミュニケーター」という呼び名に変更した。その目的は顧客からの単なる電話の取り次ぎではなく、顧客とのコミュニケーションを大切にし、顧客からの要求・相談・クレームにも丁寧に対応して、顧客との信頼関係を築いていくことを明確にするためである。
「顧客との接点であるコミュニケーターの適切な応対で、会社のイメージや顧客満足度も確実に向上します。これまで当社は、コミュニケーターのモチベーションを上げる努力を十分にしてきませんでした。これからは彼らの役割を明確にして待遇も改善し、経費は多少掛かりますが彼らのモチベーション教育やスキルアップ教育も自社でやっていこうと思っています」とA社の社長は語る。

コールセンターの役割を認識してここまで熱心に取り組んでいる通販会社や小売企業はまだ少ない。コールセンターは通販会社や小売企業にとって重要な営業窓口であり、そこで得られた貴重な顧客情報は大事な企業資産である。特に実店舗を持たない通販会社にとって、コールセンターで得られた顧客情報は営業・マーケティング・マーチャンダイジング・製品開発・経営企画など、社内のあらゆる部署で活用されるものである。言い換えれば、コールセンターからの顧客情報がなければ、社内の多くの部署が活動できないとも言える。

さらに、A社は顧客からのコール量は年々増加しているのにオペレーターが不足している問題を解決するため、コールセンター業務の一部をITで自動化し、オペレーターの負荷軽減を図っている。オペレーターには「コミュニケーター」の呼び名に相応しい顧客への丁寧な応対によって、さらなる信頼関係の構築を期待している。(文・経済ジャーナリスト 野口 恒)

コールセンターの人材不足解消と品質向上を図るため、オペレーターの正社員化に取り組む

(2009年6月29日掲載)