本文へジャンプ

ナビパラ.コム

Hitachi

最新動向

昨年から続く不況の影響で消費の落ち込みが激しく、小売業は百貨店、スーパー、コンビニなど業態を問わず、多くの企業が売上減少や収益悪化といった状況に直面している。そのためか、小売業では今「営業改革・営業力強化」が企業生き残りの大きなテーマになっている。この不況を乗り切って飛躍するためには、営業改革・営業力強化が欠かせないと、経営トップが判断したと思われる。特に最近は、ITを活用して営業活動の「見える化」を行い、営業活動の効率化とパワーアップを図る取り組みが活発になっている。

営業改革は、次の4つのテーマが大きな課題になっている。

  1. 経費のムダを徹底的に省く「省力化・効率化」
  2. ブラックボックスであった営業プロセスの「見える化」
  3. 個人よりチーム営業を強化する「コラボ化」
  4. 顧客への迅速対応を重視する「スピード化」

(1)では、ITを活用して営業活動を支援する事務部門の自動化・省力化を図り、固定費の削減を行う。膨大な営業データの集計作業や営業資料の作成作業も、できるだけITを活用して自動化するか、アウトソーシングしてコストの削減を図る。
(2)では、ITを活用して、これまでブラックボックスで見えにくかった営業プロセスを「見える化」し、営業活動のパワーアップを図る。ちなみに「見える化」の対象分野は、次の2点である。

  • 「営業プロセスの見える化」:どの営業案件が今どこまで進んでいるか、どんな状態にあるか、結果よりプロセスを見えるようにする。
  • 「顧客の見える化」:顧客のプロフィールやニーズ(顧客の声)、取引履歴などの顧客情報を見えるようにする。

(3)では、優秀な営業員個人の活躍だけでなく、みんなで協力連携してチーム全体のパワーアップを図る。そのためには、チームで顧客情報を共有するだけでなく、いま誰が、どの顧客と、どんな取引案件を進めているか、営業活動記録も見えるようにする。
(4)では、顧客の要望にいかに迅速かつ的確に対応するかに尽きる。顧客への対応が遅ければ遅いほど、顧客満足度は低下していく。営業活動の基本はスピードである。そのためには、顧客の声、顧客とのやりとり、取引履歴をチームで共有し、それらの情報を皆が活用できるようにすることが大事である。

「見える化」による営業改革で一番大切なのは「顧客の見える化」である。顧客の本音をしっかりと吸い上げ、商品やサービスに反映させているか。現在の商品やサービスに対する顧客の反応・満足度・クレーム、新商品を開発するためのヒントとなる顧客のニーズやウォンツなどの「見えない声」を取り込む仕組みを作っているか。小売業にとって、見えることは競争力であるという認識の共有が重要である。

小売業の業務改革を長年指導してきたベテランコンサルタントは、「小売業ではよくお客さまアンケートを実施しますね。しかし、肝心のアンケート結果は営業活動にほとんど生かされていないのが現状です。顧客の声を集めるだけで活用されていない。その理由は、社員がアンケート結果を見ることのできる「見える化の仕組み」が作られていないからです。そのため、アンケート結果がその後どう生かされたのか確認することができないのです」と指摘する。

小売業の営業改革は、営業活動や顧客情報の「見える化」を実現し、それらの情報が営業活動にどう生かされたか、きちんと把握することが基本となる。そのためには、社員全員が「見えることは競争力である」という意識を共有することが大切である。(文・経済ジャーナリスト 野口 恒)

小売業にとって、顧客情報の「見える化」は競争力である

(2009年6月15日掲載)