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デジタルコンテンツの世界では今、若者を中心にモバイルコンテンツの需要が高まり、その市場規模は年率15〜20%増と急成長している。こうした背景には、携帯電話の爆発的な普及と端末機能の向上、通信のブロードバンド化など、インターネットを促進するインフラ機能が整備されつつあるという事情がある。さらに、モバイルコンテンツのネット流通を促進した大きな要因には、課金システムと著作権管理の確立がある。

これまで、課金システムと著作権管理の未確立がネット流通の大きな課題であった。だれが、いつ、どんなコンテンツを、どれだけ利用したかなど、コンテンツの利用状況を正確に把握して、確実に料金を徴収できる課金システムをいかに構築するか。そして、コンテンツの無断複製や不正利用などを防ぎ、著作権者の権利を保護する仕組みをどう作っていくか。モバイルコンテンツ市場のさらなる拡大には、これらの課題の克服が不可欠であった。そして、その解決策として大きな役割を果たしたのが、キャリア課金制度とDRM(Digital Rights Management、デジタル著作権管理)である。

キャリア課金制度は、それぞれのコンテンツ提供者がモバイルキャリア(NTTドコモ、au 、ソフトバンクモバイルなど)に公式サイト(コンテンツ)の申請を行い、審査を経て、各キャリアのサイトに公式サイトとして掲載されると、料金徴収をキャリアが代行する制度である。これまでは、クレジットカードや電子マネーを利用するケースが多かったが、モバイルコンテンツの利用者には、中学生・高校生・大学生も多い。つまり、クレジットカードには年齢やセキュリティ管理などの制限が、電子マネーにはそれ自体の購入に手間が掛かるなどの難点があった。その点、この制度はキャリアが通話料金と一緒にコンテンツの利用料金も徴収してくれるので、ユーザの制限や負担も少なく、コンテンツ提供者にとっても非常に便利で安全な課金システムと言える。

もう1つの解決策となるDRMは、デジタルコンテンツに暗号化などを施して特定のデバイス以外では再生できなくすることで、第三者による複製や再利用を防ぐ技術である。デジタルコンテンツは劣化することなく簡単にコピーでき、インターネットを使えば瞬時に広範囲に流通させることができるが、その反面、無断複製や不正利用など、著作権者のコントロールの及ばない様々な問題が発生する。DRMは、このような問題に対して大きな効果を発揮し、健全で効果的なモバイルコンテンツの流通を促すものとして期待されている。
ただ、ユーザ側の視点で考えると、DRMにも難点がある。例えば、種類の違うDRMは互換性がなく、一度購入した楽曲を別のデバイスで再生できないという点だ。あまり著作権管理を厳しくすると利便性を損ない、便利さを重視しすぎると著作権管理が疎かになる。元来、流通の利便性と著作権管理は背反関係にあるだけに、どのようにバランスをとりながら運営していくか、それが今後の課題となる。(文・経済ジャーナリスト 野口 恒)

モバイルコンテンツのネット流通を促進する2つの要因

(2008年11月10日掲載)