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移動中の電車内などではノートPCは開き辛かった

中堅製造業のA社もその1つ。同社は、従来から営業担当社員に通信機能が付いたノートPCをもたせていた。本社からの指示をメールで受けたり、営業管理ツール(SFAツール)を通じて顧客訪問の成果を報告することが主な目的。しかし、実際にノートPCを利用するのは仕事が一段落した夕方以降だった。上司が昼間の時間、営業担当社員にメールで指示しても、営業担当社員がそのメールを読むのは夜間になっていたという。

移動中の電車内などではノートPCは開き辛かった

その理由はずばり、外出先でのノートPCにおける開き辛さにあった。ノートPCの立ち上がりの遅さであったり、何より移動中の電車内などでノートPCを開いてメール等を確認するのは決して楽な作業とは言い難い。また、メールが送られてきていることをリアルタイムに把握することはノートPCでは困難であった。

このような理由からタイムリなコミュニケーションを実現し、業務スピードを向上させる狙いで導入したノートPCだが、活躍できなかった。同社のシステム担当者はこう振りかえる。「営業担当社員は一日に何カ所も顧客を訪問しています。移動時間も欲しい中、ノートPCは使いたいときに使うことができなかったんですね。そのため、だんだん社員が使う気にならなくなりました」。

タブレット端末が利用シーンを劇的に変える

とはいえ、同社にとって、迅速かつコミュニケーション環境を構築することは事業強化の前提。営業担当者は訪問の成果を幹部に報告し、上司は社外にいる営業担当者に的確な指示を出す。受注に成功すれば商品管理部門にすぐさま出荷指示を出す。

こうしたサイクルを迅速に行うことがノートPC導入の目的だった。ノートPCに変わるツールはないか。経営陣がそう考えていた時期に登場したのがタブレット端末。「タブレット端末はほんの数秒で立ち上がる、そして移動中でも手軽に開けることが魅力。

タブレット端末なら社員が使ってくれると考えました」(同社システム担当者)と営業担当者に配備した。その結果、営業担当社員と幹部社員とのコミュニケーション密度は劇的に高まった。タブレット端末に切り替えてから営業担当社員がグループウェア(メール、スケジューラー)やSFAツールを活用するようになったからだ。

タブレット端末が利用シーンを劇的に変える

昨今、グループウェアはスマートデバイスへの対応が急速に進んでいる。出先から上司に報告したり、逆に社外にいる上司が部下の申請を承認する仕組みが整えば、それだけでビジネススピードが上がる。さらに、顧客との取引データをデータベース化してあれば、スマートデバイスでそのデータベースを参照可能としたい。

前述したように、同社はグループウェア(メール、スケジューラー)に加えて、SFAツールを利用している。メールはその時々の商談に応じた「非定形な」コミュニケーションに向いている。一方、SFAツールは、あらかじめ設定したフォームに従って画面の項目を選択して商談の進捗をレポートするもの。グループウェアもSFAのどちらも営業活動を支えるツールだ。

SFAを使った報告もノートPCの時代は夕方以降だったのだが、タブレットに移行してからはほぼリアルタイムで報告が上がるようになった。上司は全国に散らばって営業している社員の動きを本社にいながらにしてリアルタイムにモニタリングしている。逆に営業担当社員は外出しているのにも係わらず自分のデスクにいるような感覚で営業活動を効率よく進められる。

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