■ 日立エイチ・ビー・エムとの関わり
-- 現在、日立エイチ・ビー・エムのソリューションをどのようにお使いですか。
日立エイチ・ビー・エムには、2003年に、予算管理のシステムを開発していただきました。日立エイチ・ビー・エムからは、「将来的には汎用性のあるパッケージ化を視野に入れて、開発させてほしい」と申し出があり、弊社として承諾しました。
そうしてシステムが完成しました。それが現在の「予算管理システム Hi-CoreBudget」となっています。
-- 本日は、「Hi-CoreBudget」の母体となった、御社向け予算管理システムへの評価をお聞きすることを通じて、パッケージソフト「Hi-CoreBudget」の良さや、元々の設計思想などを、読者に伝えたいと考えています。
私たちの話が読者のお役に立つのなら、ご協力いたします。
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■ 異なる二つの物流形態の同居 〜 富士フイルム ロジスティックスの業態
-- まず富士フイルム ロジスティックスの業態についてお聞かせください。
弊社は、その名の通り、富士フイルム グループに属する物流(ロジスティックス)の会社です。
現在の業務内容は、富士フイルム グループ各社の物流。および各企業の物流のアウトソーシング請負などです。
-- 富士フイルム グループの物流というと、デジタルカメラや写真フイルムなどを、電機店や、町角のフジカラーの写真店に運び込むイメージでしょうか。
一般の方がそのようにイメージするのは無理もないのですが、違います。デジカメやフイルムなどの一般消費財は、代理店に一気に納めてしまうので、弊社が物流に関わる度合いは低いです。
弊社が担当している物流は、多岐に渡っておりますが、主な柱としては「産業用フイルム素材の運搬」、「コピー機本体、プリンタ、トナー、用紙などの運搬」の二種類です。
この二つは、同じ物流でも、性質が全く違います。比較して述べると以下のようになります。
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産業用フィルム素材の物流 (ここでは液晶テレビ・フラットパネル用のフィルムを例に説明します) |
コピー機、プリンタ、その他消耗品の物流 |
| 荷物の運び先 |
液晶テレビの工場 (十数箇所) |
コピー機等を購入した企業 (全国あらゆる場所) |
| 運送形態 |
富士フイルムの工場から、液晶テレビの工場へとトラックで直送するイメージ。運び先は最初から決まっている。定期輸送 |
コピー機が売れたら、倉庫からコピー機を運び出して、発注元企業へ運び込むイメージ。運び先はコピー機が売れるまで分からない。スポット輸送 |
| 梱包 |
液晶フィルムは、ちょっとでも傷ついたらダメ。光が当たってもダメ。梱包条件は非常に厳しい |
梱包は重要だが、液晶フィルムほどのシビアさはない。 |
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なぜ、異なる2種類の物流を一社で行っているのかというと、2001年に富士フイルムの富士ゼロックスへの出資比率が75%になったことを受けて、2003年に各々の物流会社、つまり富士フイルム ロジスティックスと富士ゼロックス流通が合併したからです。
異なる二つの物流を、合併後の1社で効率的に行えるようにすること。それが現在の弊社の課題です。
「課題である」ということは、まだ「試行錯誤の途中」だということです。「試行錯誤の途中である」ことは、「組織変更が頻繁に発生する」ということです。「組織変更が頻繁に起こる」ということは、予算編成においては、「予算編成単位がコロコロ変わる」ことを意味します。
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■ なぜ予算管理システムを開発しようと考えたか
-- なぜ予算管理システムを開発しようと考えたのですか。
大まかには「管理会計の充実」がねらいです。
今期(または今月、今四半期)に、どのぐらいの売上げが上がりそうなのか(売上げ予算)、どのぐらいのお金が出ていきそうなのか(経費予算)、それら予算は前年、前々年と比べてどのぐらい増減しているのか。
そうした数値を的確に集計し、経理部門がその数値を分析し、洞察を加え、要点や異常傾向を経営者に報告し、早めに手を打ってもらう。そのような状況を実現したいと狙いました。
この狙いを実現するための必要条件は以下のとおりです。
- 予算がスピーディに集計できねばならない。
- 経理部は、予算の集計ではなく、分析に時間と労力を割けるようであらねばならない。
- 予算の組み直しが起きても、スピーディに修正できねばならない。
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■ 予算はスピード命
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-- では順々にお聞きします。必要条件1:「予算がスピーディに集計できねばならない」とは?
そもそも予算は何のために組むのかといえば、一ヶ月後、三ヶ月後、一年後の会社の状況を予測して、早めに手を打つことが目的です。
経営の打ち手は、早ければ早いほど良い。
ということは予算はスピード命です。ゆっくりじっくり取り組むべき作業ではありません。
-- 予算編成のスピードを上げるにはどこを改善するべきだと考えますか。
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その質問に答えるために、まず、予算編成の作業工程を整理することにします。大まかには以下のように分類できます。
- 各部門の予算編成(エクセルとにらめっこ)
- 各部門の予算の集計(何十個ものエクセルの集計)
- 集計された予算を分析する。洞察を加える(経理部の本来の仕事)
- 経理部による分析、洞察を元にして、経営者が打ち手を打つ
- 場合によっては、予算の組み直しも発生する(1〜4の手順の繰り返し)
この手順の中で、合理化(システム化)に最も向いているのが、2.の「集計」の部分です。なぜなら、予算の集計とは、大まかに表現すれば、「多数の予算エクセルファイルを、正確に足し算すること」、「予算の組み直しが起きたときも、いやがらずにもう一度正確に足し算し直すこと」だからです。
そういう仕事はコンピュータに向いていますが、人間には向いていません。人間は計算ミスも多く、同じ作業を繰り返すと精神が摩耗する生き物ですから。
計算作業はシステム化するべきです。人間にはやるべきことが他にあります。
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■ 人間は、集計ではなく分析をやるべき
-- 今おっしゃったことが必要条件その2:「経理部は、予算の集計ではなく、分析に時間と労力を割けるようであらねばならない」に相当するのでしょうか。
そうです。予算とは、経営者が打ち手を打つために組むものです。
そのためには、予算表そのもの(膨大な数字の羅列)を経営者に渡すだけでは不十分です。
予算表そのものに加え、その予算に対する分析、すなわち、対前年度、対前々年度との比較、異常増減が見られる費目の抜き出し、さらには各部門の予算のクセ(強気、弱気、ニュートラル)などに洞察を加えて、経営者に報告することが必要です。
このような傾向分析、洞察は人間の得意技です。経理部門の社員が、時間と労力を傾けるに値します。
このことは、「経理部門の人的リソースの有効活用」とも言い換えられます。
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■ 予算に組み直しはつきもの
-- 最後の必要条件、「予算の組み直しが起きても、スピーディに修正できねばならない」とは、具体的には。
予算の集計が一回で終わることはありません。経営者(あるいは親会社)から組み直しを命じられることの方が普通です。
先ほども述べたとおり、予算編成はスピードが命です。
度重なる組み直しに対しても、めげずに再集計せねばなりません。
そして前述したとおり、そうした作業は人間よりもコンピュータに向いています。コンピュータなら、何回、計算させようが、不平も言いませんし、疲れて計算ミスをすることもありませんから。
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■ 予算管理システムの4つのコンセプト
-- ここまでお伺いした、目的(必要条件)を、システムに落とし込むために、どのようなコンセプト(仕様)を定めましたか。
日立エイチ・ビー・エムと話し合って、以下4つのコンセプトを定めました。
- 予算の入力はエクセル
(エクセルライクな画面と操作性なので、取り付きやすい)
- 出力もエクセル
(エクセルの方が分析の時に便利。表で見たいのか、グラフで見たいのか、好みは人それぞれ。システムで画一化はできない)
- 組織変更に柔軟に素早く対応できること
(富士フイルム ロジスティックスは合併後の試行錯誤のステージにある。組織変更は頻発)
- 前年度以前の実績との比較が容易にできること
(通年比較は、分析の基本)
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■ 予算は人それぞれ 〜 入力はエクセルが一番
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-- では順々にお聞きします。コンセプトその1、「予算の入力はエクセル」とは具体的には。
おそらく、どこの会社のどの部署でも予算編成はエクセルで行っていると思います。弊社も以前はそうでした。
予算は部署それぞれ、人それぞれ。
部門ごとの予算を組む段階であれば、エクセルは便利な道具です。新システムを作るからといって、やめたくありません。
ということで、新システムでは、システムへの予算入力(インプット)はエクセルライクにしました。具体的な手順のイメージは以下のとおりです。
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- 管理者が予算のフォーマット(費目)を決める。
(費目は全社で共通にしないと、さすがに集計できません)
- 各部門が共通フォーマットに予算を入力して、確定ボタンを押す
- 経理部が集計ボタンを押す。するとすべての予算が集計される。
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■ 分析も人それぞれ 〜 出力もエクセルが一番
-- コンセプトその2:「出力もエクセル」とは
予算の集計が終わったら、経理部がそれに分析を加えます。
この時にもエクセルを使えば、平均や、合計や、標準偏差や、グラフ化など様々な分析(表示)機能が使えて、便利です。便利な道具は使い続けた方が合理的です。
分析手法もまた人それぞれであり、無理にシステムで画一化する必要もありません。
ということで、新システムでは、集計結果の出力の部分もエクセルファイルを吐き出させることにしました。
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■ 組織は変わるもの 〜 システムに柔軟性が必要
-- コンセプトその3:「組織変更に柔軟に素早く対応できること」とは具体的には。
富士フイルム ロジスティックスは、二社が合併してできた会社なので、社員数の割に部門(予算編成単位)の多い会社です。現在、4本部70部門があります。
これらの部門が今後も統合等を繰り返すこと、つまり組織が頻繁に変わることはほぼ明らかです。
したがって、予算編成システムは、組織変更があっても柔軟に対応できるような仕様にしておかねばならないと考えました。
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■ 通年比較は経営分析の基本 〜 前年度以前の実績と比較できるように
-- 4つめのポイント:「前年度以前の実績との比較が容易にできること」とは具体的には。
通年比較はシンプルですが強力な分析手法です。
今年の予算だけをじっと見つめていても分析はできません。何年分かの数字を並べて比べてみて、はじめて有意な分析ができます。
新システムには、前年、前々年の実績を保存し、今年の予算と容易に対比できるようにしました。
今年はシステム化して3年目なので、前年、2年前、3年前の実績数値が貯まっています。理論上は、年を追うごとに比較対象が増え、分析も精緻になると期待できます。
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■ 「Hi-CoreBudget」は、物流用に偏ったシステム?
-- 視点を変えて、お聞きしたいことがあります。この事例を読んでいる読者は、「Hi-CoreBudgetは、元々は富士フイルム ロジスティックス用のシステムだったのか。ということは物流に偏った仕様になっていて、汎用性が低いかもしれないな」と感じるかもしれません。この感想についてどう思いますか。
別に日立エイチ・ビー・エムの肩を持つわけではありませんが、「Hi-CoreBudget」の汎用性はおそらく高いでしょう。
それは、入力と出力がエクセルだからです。
エクセルであれば、利用部門のアレルギーも少ないでしょう。
そもそも我々も、要件定義の段階で、「あまりユニークな特殊なシステムは作ってくれるな。会社のありようは今後も変わるだろうし、誰の好みも反映できるよう、なるべく汎用的な仕様にしてくれ」と注文を出しましたし。
「Hi-CoreBudget」は、生い立ちの違う2つの会社の合併を経験したシステムを母体にしています。物流寄りとか、そういう「クセ」はほとんどないと思います。
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■ Hi-CoreBudgetは、どんな会社に向いているか
-- Hi-CoreBudgetは、どんな会社に向いていると思いますか。
単純に述べるならば、かつての我々のような会社。
つまり予算の集計に追われて、経理としての真の作業である数値の分析、洞察に時間が割けない会社。「作業」ばかりが忙しく、本当の「仕事」ができていない会社には向いているでしょう。
予算の集計のような単純作業は自動化するべきです。
もう少し細かく述べるならば、我々と同じような、大手企業の子会社にも向いていると思います。子会社の予算編成は、親会社の方針で、急な組み直しが入ることはよく起きることですから。
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■ SI会社としての日立エイチ・ビー・エムへの評価
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-- 「予算システムを受託開発したSI会社」としての日立エイチ・ビー・エムへの評価をお聞かせください。
弊社もいろいろなSI会社と取引があります。中には誰でも名前を知っている超大手SI会社もあります。
しかし、それらの会社に比べても日立エイチ・ビー・エムのSEは優れている方だと思います。
良いポイントは三点あります。
第一に、業務理解力。理解の質とスピードの両面において高い。
第二に、主体性。人ごとではない、我がごととして親身に関わってくれます。他の会社の場合、注文を付けても、それを理解できなかったり、勝手に解釈することもあります。
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第三に意志力。SEや営業の皆さんから「システムを止めてはならない」という強い意志を感じます。
日立エイチ・ビー・エムは前身が保守会社だったと聞きました。その保守会社としてのDNAが、システム安定稼働への強い意志につながっているのかもしれません。
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■ 今後の期待
-- 日立エイチ・ビー・エムへの今後の期待をお聞かせください。
今回、良い予算管理編成システムを作っていただきました。
エクセルによる入出力というユーザー本位の仕様になっており、利用部門からも好評です。集計操作も容易で、例えば経理知識のない派遣社員の方でも、比較的簡単にマスターできます。
最近、日立エイチ・ビー・エムの営業の方に聞いた話では、「Hi-CoreBudget」は、大手飲料物流会社への導入が決まったとのこと。おめでとうございます。より多くの経理部門が、集計作業から解放されるようになれば嬉しく思います。
今後も、ユーザー本位の「使える」製品を作り続けていってください。期待しています。
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お忙しい中、ありがとうございました。
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