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経済ジャーナリストの野口 恒 氏が、業種・業務分野別に、業界動向やITの最新情報、活用事例等をレポートいたします。 → 一覧はこちら

バックナンバー(2008.3.10 Update)

業種別IT活用実践シリーズ−製造業のIT活用 第14回

1)最新動向〜サプライチェーンに強いがディマンドチェーンに弱い日本のものづくり
2)事例研究〜中小企業の新規事業への挑戦を支援する東成エレクトロビーム

1) 最新動向
『サプライチェーンに強いがディマンドチェーンに弱い日本のものづくり。デジタル時代に対応した新たな競争戦略の構築が大きな課題』

多くの日本メーカは、グローバルなデジタル時代のものづくりに対応した新たな競争戦略の構築を迫られている。かつて「工場の中は世界一」といわれた日本のものづくりであるが、その強さや競争力が徐々に衰え、GEやIBM、サムスンなどに比べて、営業利益率の低下が著しい。ちなみに、グローバル競争を勝ち抜くには、営業利益率が10%以上ないと失格だといわれる。数%台の低い営業利益率では厳しいグローバル競争に勝ち抜けないからだ。上述した米国や韓国のハイテクメーカは、みな営業利益率10%台を確保している。それに対して、日本の大手企業で営業利益率10%を達成しているメーカはほとんどない。日本のものづくりは、なぜ高い営業利益率を上げることができないのか。そして、その原因はどこにあるのか。これらの点がいま日本メーカに突きつけられている課題である。

ものづくりのプロセスは、消費者や市場のニーズをいち早く取り入れて新たな製品開発に反映させる「ディマンドチェーン」と、受注した製品を効率的に製造して顧客に届ける「サプライチェーン」に大別される。日本メーカはこれまで、製造現場の改善活動やTQC(Total Quality Control)活動を中心に、SCM(サプライチェーン・マネジメント)に力を入れ、ムダのない効率的なものづくりで競争優位を確保してきた。しかし、グローバル競争に突入したいま、日本メーカのこれまでの競争戦略が通用しなくなっている。とくに価格競争で強みを発揮する中国やインドがグローバル市場へ進出したことで、日本メーカの競争力はますます低下している。

ものづくりの付加価値の源泉は、「いかに作るか」という製造生産プロセス(SCM)から、「何を作るか」という企画開発プロセス(DCM)へと大きくシフトしている。日本メーカはこれまで「下り車線」のSCMには強かったが、「上り車線」のDCMに弱かった。日本メーカの営業利益率が低いのはそのためである。デジタル時代のものづくりでは、利益率の低いサプライチェーンよりも利益率の高いディマンドチェーンに強い企業が生き残るといわれる。
これにいち早く気付き、競争戦略を大きく転換したのがサムソンである。同社は1980年代まで日本企業に倣って効率的なものづくりを目指し、SCM強化に力を入れた競争戦略を進めてきた。しかし、グローバル競争に突入する1990年代に入ってから、日本の競争戦略をきっぱり捨てて、ディマンドチェーンを重視した欧米流の競争戦略を導入した。そして、製造現場を中心とした下流工程ではなく、企画・設計・開発部門の上流工程でより多くの利益を上げることに成功した。

日本メーカのこれからの課題は、ディマンドチェーンの強化にあるが、それだけでは米国や韓国の先進企業の後追いになる。DCMとSCMの連携こそ、日本メーカの独自の強みであるコア・コンピタンスを強化できる有力な方法になる。そして、それを実現する有力な手段が「PLM(プロダクト・ライフサイクル・マネジメント)」である。PLMは、ITを活用して企画・開発・設計から生産・販売・物流・メンテナンスまで製品のすべてのプロセスを一貫して管理する経営手法である。DCMとSCMの連携には全社的なデータの共有と一元管理が欠かせないが、PLMはそれに大きな威力を発揮する。

製品ライフサイクルがますます短くなり、さらなる開発スピードが求められるグローバル競争においては、製品ライフサイクル管理に優れ、DCMとSCMの連携を可能にするPLMの活用が不可欠となる。今後、日本メーカがPLMをフルに活用して、デジタル時代に対応した独自の競争戦略をどう構築するか、それが最大の課題となる。

デジタル時代に対応した新たなものづくり競争戦略の構築が課題


2)事例研究〜中小企業の新規事業への挑戦を支援する東成エレクトロビーム

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