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経済ジャーナリストの野口 恒 氏が、業種・業務分野別に、業界動向やITの最新情報、活用事例等をレポートいたします。 → 一覧はこちら
(2007.8.6 Update)
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業種別IT活用実践シリーズ−製造業のIT活用 第13回
1)最新動向〜工場はコストセンターでなく利益を生むプロフィットセンターに変身せよ
2)事例研究〜POPシステムを使って製造現場の生産情報を直接採取
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1) 最新動向
『工場はコストセンターでなく利益を生むプロフィットセンターに変身せよ。儲ける工場づくりは、工場長のマネジメント能力にかかっている』
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メーカーを取り巻く経営環境が一段と厳しくなっていることもあり、近年、工場の位置づけや役割が大きく変わってきている。これまで工場といえば、コストセンターとしての位置づけであった。ところが最近では、工場は単なるコストセンターでなく、プロフィットセンター(コストと収益の両方が計上される部門や組織)であると位置づけて、儲ける工場に変身せよ、とその役割を期待するケースが増えている。
ある大手メーカーは、それまで事業部に連なっていた工場を事業部の枠から外して、各工場が自ら仕事を獲得して利益を生み出す「工場自立」を推進している。このメーカーではそれまで事業部ごとに開発・生産・販売が三位一体で運営されていたため、工場は事業部から自然と仕事が入ってきていた。しかし、事業部制をなくしたことで、工場は自らの力で仕事を獲得して、収支管理も行い、利益を生み出す「儲ける工場」に変身しないと、工場そのものが存続できない立場になった。そのため、コスト・品質・納期・生産性などを見直し、競争優位をアピールすることが必要となった。
また、工場間の生き残り競争は国内だけでなく、中国をはじめとする海外工場もライバルとなる。これは、工場長や工場関係者にとっては「環境の激変」といってもよいほどの大きな変化である。とりわけ工場長には、中堅・中小企業の経営者と同じように、厳しいマネジメント能力が求められている。なぜなら、従来のように事業部が要求する価格と納期に製品を納めていればよいというわけにいかないからである。
また、工場の実力を評価する物差しも変わってきた。従来は月産いくらという生産量や売上高で工場の実力を評価していた。しかし、工場自立・儲ける工場づくりを進める現在は、生産量や売上高だけでは工場の実力を評価する物差しにならない。これからは、工場長の経営判断と権限の範囲内で、キャッシュフロー経営(一定期間内の企業の現金収支がプラスになるよう経営を行う)を実践し、工場の実力もどれだけコストを低減したかだけでなく、スループット(正味のキャッシュフローである売上高から資材・部品費を差し引いたもの)をどれだけ増大させたかが評価となる。
工場経営は、伝統的な原価低減のコストセンターの世界から、利益を作り出すスループットの世界に移行する。コスト管理の世界では、各工程コストを最小にすれば全体コストの総和は最小になる。そのため、個別工程ごとに原価低減・在庫削減に一生懸命取り組めば良かった。しかし、スループットの世界では個別工程の原価低減を図っても部分最適が実現されるだけで、スループットの最大化=サプライチェーン全体の最適化には繋がらない。なぜなら、スループットはサプライチェーン全体の最適化を阻む「制約条件」に大きく影響されるからである。スループットを最大化するには、制約条件となっている原因を特定し、その原因を取り除くための問題解決を図るしかない。これまで長い間、コスト管理に慣れてきた企業の工場長や管理者には、スループットの世界はなかなか馴染みにくい面がある。工場運営のオペレーションをきっちり行うことよりも、どちらかといえば、利益を生み出す企業経営者のセンスと能力が求められる。
工場自立・儲ける工場づくりは、工場長のマネジメント能力に依存している部分が大きい。そのため、工場長自身がまず意識改革を行い、「企業経営者の知識と能力」を持たねばならない。

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