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経済ジャーナリストの野口 恒 氏が、業種・業務分野別に、業界動向やITの最新情報、活用事例等をレポートいたします。 → 一覧はこちら
(2007.10.9 Update)
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業種別IT活用実践シリーズ−金融業のIT活用 第12回
1)最新動向〜“指紋・静脈・声紋”による生体認証の本格導入が進む
2)事例研究〜楽しみながら簡単に利用できる金融サービスを提供する三菱東京UFJ銀行
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1) 最新動向
『なりすまし防止等のセキュリティ対策に、“指紋・静脈・声紋”による生体認証の本格導入が進む』
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最近、銀行カードやクレジットカードの偽造事件をはじめ、インターネットバンキングやモバイルバンキングでの「なりすまし」による詐欺事件が増えており、より安全で、確実な本人確認手段の必要性が指摘されている。そこで今、従来のお客さま番号や暗証番号、パスワード等による本人確認手段のほかに、指紋認証や指先・手の平の静脈パターン認証、声紋認証等の生体認証の本格導入が進められている。ATM(現金自動預け払い機)を利用する際の指紋認証や静脈パターン認証は既に都市銀行を中心に実用化されているが、最近では声紋認証の実用化も検討されている。日立製作所をはじめ、ニュアンスコミュニケーションズジャパン、アドバンスト・メディア、富士通といったIT企業による声紋認証技術やシステムの開発も活発であり、金融機関等では声紋認証システムの本格導入を検討している。
ショッピング等でクレジットカードやクレジット機能が付いたキャッシュカードを利用する場合、一般的にはサインや有効期限の記入が必要だが、カードの種類や取り扱い店舗によっては本人確認手段として生年月日や電話番号または暗証番号の記入・通知が必要なところもある。しかし、近年、スキミングやなりすまし等のカード犯罪が横行しており、このような認証手段では安全性が高いとは言い難い。そのため、銀行などの金融機関では、例えばATM利用時に、既存の認証手段を補強する形で、指紋認証や手のひらの静脈パターン認証等の生体認証を導入するところが増えている。
指紋認証や静脈パターン認証は、読み取りが正しく行われれば、かなり高い精度の認証が可能である。その誤認証率は0.01%〜0.1%といわれる。しかし、セキュリティの高い認証手段ではあるが、幾つかの難点もある。それは、特別な読み取り装置が必要であることや、インターネット、モバイル、電話でのやり取りに利用できないことである。そこで、インターネットバンキング、モバイルバンキング、テレフォンバンキングにも使える本人確認手段として、声紋認証の導入が検討されている。
声紋認証は、発話音声のうち声の質を識別することで本人確認する認証手段である。個人を特徴づける要素には、声道の長さや形、声帯の長さ、性別、発話速度、発音等がある。それらの情報を発話音声から抽出して点数化し、声紋データを作成する。認証する場合は、発話音声から作成された声紋データを、予め登録された本人の声紋データとマッチング(照合)して、本人か否かを判定する。声紋認証のメリットとしては、次の2点が挙げられる。
- 特別な読み取り装置が不要である
- いつでも、どこでも、本人確認が可能である
声紋認証の精度は、指紋認証や静脈パターン認証に比べると多少低く、誤認証率は0.1%〜1%ぐらいだといわれる。そのため、金融機関が本格導入するには、認証精度をさらに高める必要がある。ただ、既存の認証手段と組み合わせて使えば十分実用可能だという。現在、金融機関が声紋認証を実際に導入しようと検討している主なケースには、次のようなものがある。
- インターネット、モバイル、電話を使って、個人の銀行口座・口座情報にアクセスする場合
- 社外から、自社・自行のデータベースや情報ファイルにアクセスする場合
- 利用者の暗証番号やパスワードの確認・再発行を行う場合
- 出退勤時間の申請といった従業員の勤怠管理や入退室管理等を行う場合
銀行等のコールセンターには、精度の高い音声認識技術をもっているところも少なくない。そこで、声紋認証技術と音声認識技術を組み合わせ、より精度の高い本人確認を行うことも検討されている。本人の個人情報(生年月日、電話番号、口座番号等)の発話音声に対して声紋認証を行うと同時に、音声認識で発話内容の正誤を確認することができる。例えば、音声自動応答装置で幾つかの質問を行い、それらの回答が正しかったか、内容に誤りや不合理な点がなかったかを判断する。
現在の段階では、生体認証はどれも単独で100%の精度を実現することはできない。そのため、口座番号や暗証番号、パスワード等の既存の認証手段と生体認証を併用したり、声紋認証と音声認識を組み合わせて使うなど、それぞれの利点を活かした組み合わせと併用で、セキュリティの向上を図る創意工夫がなされている。

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