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経済ジャーナリストの野口 恒 氏が、業種・業務分野別に、業界動向やITの最新情報、活用事例等をレポートいたします。 → 一覧はこちら
(2008.2.25 Update)
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業種別IT活用実践シリーズ−ITと経営 第8回
1)最新動向〜新たなオフショア開発先として関心や人気が高まるベトナム
2)事例研究〜ハードからソフトまで多様な事業領域へと拡大するアップル社
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2) 事例研究
『ハードからソフトまで多様な事業領域へと拡大するアップル社。すべての経営資源を集中・統合して、競争力を強化する』
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近年アップル社の事業構造が急速に変貌している。同社はiPodの成功を契機に、従来のコンピュータのハードメーカから脱皮して、ハードからソフトまで多様な事業領域へと拡大する成長戦略を選択した。そして、それらの経営資源を最終的に「iPodワールド」に統合し、経営の軸足をより成長性の高いソフトやサービス事業に移そうとしている。そのことは、社名から「コンピュータ」を取り除いたことからも十分推測できる。
このiPodワールドのターゲットは、従来のようなパソコンユーザではなく、団らんを楽しむ家庭のリビングを中心とした幅広い顧客層である。そのために、同社は新製品として「Apple TV」を投入した。Apple TVは、Macとテレビをワイヤレスで繋ぐ機器で、Macでダウンロードした様々なコンテンツをテレビに配信できる。つまり、リビングでテレビを見ながら、ビデオや音楽、写真、そしてポッドキャストなどを楽しむことができるわけだ。
そして、Apple TVと共にiPodワールドを推進するもう一つの新製品が「iPhone」である。同製品は、タッチパネル方式を採用しており、また三次元センサーを搭載することで他の携帯電話にない使い易さをとことん追求している。もちろん、iPodの機能も搭載しているため豊富な音楽コンテンツも楽しめる。日本では音楽再生やゲームを楽しめる携帯電話が多数提供されているが、欧米では第三世代携帯電話の普及が遅れているため、日本のようなマルチメディア機能を搭載した携帯電話は少ない。そうしたことからも、デザインが斬新で使い易いiPhoneは画期的な製品と言えるだろう。
このように、同社は2つの強力な製品を使い、好きなコンテンツを、好きな時に、好きなだけ楽しめるサービスを個人や家族に提供したいと考えている。具体的には、ハード面ではiPodやiPhone、Apple TV、Macを使い、ソフト面ではiPodが持っている豊富な音楽コンテンツやディズニーとの提携による人気の高いアニメや映画などを提供することで、多くの顧客をiPodワールドに取り込もうとしている。また、同社が有するすべての経営資源をiPodワールドに集中・統合する「コンバージェンス経営」によって、独自の競争力(コア・コンピタンス)を強化し、マイクロソフトやソニーなどライバル他社との競争で優位を確保したい狙いもある。
ちなみに、コンバージェンス(convergence)とは「集中・統合」の意味であるが、最近のアップル社の変貌と躍進振りを見ると、日本のIT企業も従来の事業内容を抜本的に見直して、新たな事業創造・市場開拓を目指し、かなり思い切った事業構造の革新と経営改革が必要だと思われる。

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