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経済ジャーナリストの野口 恒 氏が、業種・業務分野別に、業界動向やITの最新情報、活用事例等をレポートいたします。 → 一覧はこちら
(2008.2.12 Update)
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業種別IT活用実践シリーズ−ITと経営 第8回
1)最新動向〜新たなオフショア開発先として関心や人気が高まるベトナム
2)事例研究〜ハードからソフトまで多様な事業領域へと拡大するアップル社
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1) 最新動向
『新たなオフショア開発先として関心や人気が高まるベトナム。知識欲や向上心が旺盛で勤勉なため、開発拠点として成長する可能性が高い』
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日本はいま少子高齢化が急速に進み、また最近のIT不況の影響もあってか、学生の理系離れやSE職種の人気低下が指摘されている。そのため、IT業界では慢性的な開発エンジニア不足が叫ばれており、その解決策としてソフトウェア開発を海外に委託する「オフショア開発」のニーズが増大している。
近頃オフショア開発先として注目されているのがベトナムである。これまでは、膨大な人口を有する中国やインドが開発拠点とされてきた。しかし、知的財産権の保護に不安が残り、また従業員の定着率の低さや商慣習の違いなどから、失敗・撤退する企業も少なくない。それに対して、ベトナムは親日国であり、人件費(人月単価)は中国より3割ほど安く、日本企業に対する人気や従業員の定着率も高い。また、ベトナム政府は外貨獲得のためにソフトウェア産業の育成に力を入れており、ITの高等教育を受けた人材(技術者など)も豊富である。さらに、ベトナムは文化的に農耕社会の伝統があり、儒教の影響も大きく、日本との類似点も多い。そのため、日本企業の間では新たなオフショア開発先としてベトナムへの関心や人気が高まっている。
しかし、人口や市場の規模、技術水準、インフラ整備などを考えると、ベトナムはまだ発展途上であり、中国やインドに取って代わるパワーはまだない。政府がITやソフトウェア産業の育成に本格的に取り組んでからまだ10年ほどしか経っていないこともあり、若い技術者は確かに優秀だが経験が浅く、大規模なソフトウェア開発のプロジェクトを実行・運営していく力が備わっていない。また、漢字圏の中国に比べて日本語の読解力が劣り、通信インフラの整備も不十分である。そのために、現在はどうしても、プログラミングの仕事やWebアプリーケションなど小規模なシステム開発の受託が中心となっている。
ただ、若い技術者の知識欲や向上心は極めて旺盛で、潜在的な能力が高いため、日本政府や日本企業が現地技術者の育成や教育を本格的に支援していけば、大規模なソフトウェア開発の仕事もこなす受け皿に十分なりうる。ベトナム政府や現地企業は、金融・流通・製造の業務ノウハウや大規模案件の開発・運営・管理の手法、日本語教育の支援を切望しており、日本にかかる期待も大きい。
ちなみに、ベトナム最大のIT企業といえば、日本でも知られているFPT(The Corporation for Financing and Promoting Technology)社である。同社は従業員が2000人を超える大企業であり、主にソフトウェア開発やシステムインテグレーションなどの分野で事業を展開している。このFPT社を除けば、日系企業で100名以下、現地企業だと50名程度の小企業が8割近くを占めるが、今後は政府の積極的な支援や日系企業の本格的な進出などにより、企業規模も拡大し、特に人材面では知識欲・向上心・勤勉さがあるトップクラスの優秀な人材が育ってくる可能性は大いにある。
日系企業の担当者に話を聞くと、業務ノウハウや専門技術の習得、開発プロジェクトの運営・管理手法、日本語教育などに2〜3年を要するが、日本で新人採用・教育を行う場合との期間やコストの差は徐々に縮まっており、彼らの意欲や勤勉さを考えると、ベトナムの方が日本より成功率が高くなるのではないかと指摘する見方もある。なぜなら、日本では現在優秀な学生や若者ほど日本企業より給料の高い外資系企業に就職する傾向が強いからだ。
国内で開発エンジニア不足に悩む日本企業にとって、ベトナムを次のオフショア開発先としてどう活用するかが、これからの成長戦略の重要な課題になってきた。

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