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タブレット端末導入でくるくると動き始める

タブレット端末を導入して以降、営業担当社員からの報告や申請、それを受けて幹部が出す指示、決裁のサイクルがくるくると動き始めた。同社は今後、営業部門に集約される情報を生産計画や出荷指示など、営業活動の背後にフィードバックして全社的な業務スピードの向上へとつなげていきたいとしている。

タブレット端末導入でくるくると動き始める

タブレット端末導入の効果は、社内コミュニケーションの密度とスピードの向上にとどまらない。営業力、提案力の強化につながったことも大きな効果だ。
同社は、顧客ごとの売上データをデータベースとして構築している。顧客を訪問する前にそれを見れば、その顧客にどういう商品を提案したらいいか、事前に準備することができる。それによって、的確な提案が行えるようになった。それが受注の増加につながっているという。

顧客データベースは以前から構築していたのだが、前述したようにノートPCの時代は、顧客訪問の前に営業担当者が顧客データベースを参照することはほとんどなかった。顧客データベースという宝を営業の最前線に生かせるようになったのはタブレットを導入したからこそといえる。タブレット端末の活用により、リアルタイム経営と提案力の強化を志向する同社の戦略を具体的な形にした。

セキュリティ対策は必須

スマートデバイスの導入に当たって配慮しておきたいのは情報漏えいを起こさないようにするセキュリティ対策だ。社員に対するセキュリティ関連教育と対策ツールの採用の両面で対処したい。

社員に対する教育として徹底したいのは、紛失しても他人に操作されないようスマートデバイスの使用を終えたらロックすること。メールなどの記録が他人に見られてしまうことを防止できる。

セキュリティ対策は必須

自社サーバーへのアクセスに対するセキュリティも配慮しておきたい。スマートデバイスと自社サーバーを接続するネットワークとしてインターネットを利用するのはリスクが大きい。前述したA社は、バーチャル・プライベート・ネットワーク(VPN)を採用してセキュリティを高めている。VPNは、日本語にすると仮想専用網。インターネットに比べてセキュリティレベルが高い。

モバイル・デバイス・マネジメント(MDM)というツールを使う企業も多い。MDMは、企業が利用しているスマートデバイスを遠隔で監視・制御する機能をもっている。例えば、会社がアクセスを認めていないサイトへのアクセスを遮断したり、社員がスマートデバイスを紛失した場合は、リモートでロックしたりデバイス内のデータを消去するといったことだ。

それによって情報漏えいが生じない仕組みが確立できる。企業がスマートデバイスを導入する際に、セキュリティ対策は必須。一方で、社員が利用するのに操作が煩雑すぎると活用が進まない。IT担当者には悩ましいテーマだ。セキュリティ確保を前提としつつ、利用しやすさとのバランスも考慮して納得できるツールを選択したい。

スマートデバイス活用を支援する各種ソリューション