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iPhoneはプロダクトイノーベションから生み出されたヒット製品

アップル社の画期的な新製品iPod、iPad、iPhoneはそうしたプロダクトイノーベションから生み出されたヒット製品である。ジョブズのもとに編成された開発チームには、「世界を変える製品を作りたい」とする情熱と才能を持った社内外の技術者やデザイナーだけでなく、科学者やアーチスト、教育者や音楽家など、異分野のプロフェッションル(専門家)たちが多数集まり、ビジョンやアイデアをとことん議論し合い、最後にはまだ誰も見たことのない画期的な新製品の形に作り上げていく。ITは、パソコンやネット上にそんなビジョンやアイデアをみんなで共有し、激しく議論を戦わせ、最後には製品に作り上げていく創造の場(環境)を提供する。

iPhoneはプロダクトイノーベションから生み出されたヒット製品

  • 「1000曲をポケットに」とのキャッチフレーズで音楽の楽しみ方を劇的に変えたiPod
  • 単なる電話でなく、様々なアプリが楽しめるプラットフォームに変えたiPhone
  • ノートパソコンより使いやすく、スマートフォンより高機能な新製品iPad

これらの製品が登場したことにより、音楽の楽しみ方は一変し、ライフスタイルも劇的に変化した。たしかにそれらは人々の生活を変えたのだ。みんな独創的なビジョンやアイデア、様々な知識・技術・経験、常識に捉われない斬新なデザイン、有能な社員の多様な能力やスキルをつなぎ合わせ、「何か新しいもの、世界をあっと驚かせ、世界を変えるもの」を造りたいとする夢や情熱に結集した創造力から生まれたものである。

「アップルのみんなを結びつけていたのは、世界を変えられるもの作りだった。それがすごく大きかった」(スティーブ・ジョブズ)
ITの持っている「つなぐ力」は、関係のないように見える様々な分野のアイデア、スキル、技術、人材(例えば、エンジニアと科学者とアーチスト)を一つのビジョンのもとにつなぎ、組み合わせる創造力を持っている。それは、ITの持っている「関係づける力」「つなぎ合わせる力」「新しいものを生み出す力」である。

ジョブズは社員によく何を作りたいのか、「まずプロトタイプを作れ」という。いきなり完成された製品を作るのは無理だ。「自分がどういうものを作りたいのか、ひとりでじっと考え、考え続けてアイデアを温め、次第に形にしていく。そして、アイデアが明快になったら、まずプロトタイプを作り、手直ししながら完成されたものに仕上げていけばよいのだ」ともいう。ITは、アイデアを形にしたプロトタイプをパソコンの画面上に作り、修正や改良を加えながら、完成された製品に作り上げていく上で大きな力を発揮する。

アップルの成功例からも、企業の生き残りの原動力となるプロダクトイノベーションを実現するには、まさに「ITの活用がいかに重要か」がよくわかる。