気象庁は、2007年10月から緊急地震速報の提供サービスを開始しました。この緊急地震速報は、地震の初期に発生する揺れ(P波)を計算して大きな地震かどうかを推測する技術に基づいて開発されたものです。従来は、P波の後に起きる大きな波(S波)を計測して地震の震度や方向を計算していました。つまり、大きな揺れが来てから計算していたわけです。それに対して、P波を基にした地震速報は初期微動をキャッチして計算するので、大きな揺れが来る前に警報を出すことができます。また、そこで得られる猶予時間は10秒と言われており、10秒あれば、机の下に隠れたり、車の運転を停止したりできるので、危険の回避や被害の軽減が期待できます。
緊急地震速報は、一般家庭にはテレビで通知されることになっていますが、オフィスや工場などでは、企業が直接、地震速報を受信できる仕組みも実現されています。(財)気象業務支援センターや民間企業が地震速報の提供業務を開始しており、専用線やインターネットを経由して企業はその速報を専用装置で受信します。また、受信装置にはアナウンス機能もあり、周りの社員に避難を呼び掛けることもできます。本社以外に支社や工場など、いくつも拠点をもっている企業も多いでしょう。そうした企業でも、社内ネットワークを通じて地震速報を各拠点に通知できるのです。
受信装置を導入している企業は、緊急地震速報の提供が昨年始まったばかりということもあり、まだ多いとは言えませんが、今年から本格的に導入を検討するものと思われます。受信機器の価格は、数万円から数十万円とまちまちです。機能についても、地震速報を受信するだけのシンプルなものもあれば、受け取った地震速報を計算してピンポイントで震度や到達時間を割り出す高性能なものもあります。また、受信機器と工場の設備と連携させれば、地震が来る前に設備を停止させることも可能です。
社員の安全を守ること、そして事業を継続していくことを考えるのが経営者の努めと言えるのではないでしょうか。大きな地震が来る前に受信装置の導入を検討されてはいかがでしょう。(文・フリーランス ライター 小林 秀雄)
(2008年2月18日掲載)