SaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)という言葉が経済紙にも使われるようになりました。SaaSとは、サーバやパソコンにソフトウェアをインストールせず、Web上で提供されているソフトウェアを利用する形態を指します。身近なサービスとしては、交通機関の乗り換え案内があります。以前は、パソコンにインストールして使用していましたが、現在ではインターネットにアクセスしてルートや時間を調べる人が大半ではないでしょうか。
マイクロソフト株式会社も、「Windows Live」という名称で、Web上で利用するソリューションの提供に乗り出しています。同社のバルマー会長は、いきなりすべてのソフトウェアの提供形態がSaaSに切り替わるのではなく、ゆっくりと変化していく、と述べていますが、ビジネス向けソフトウェアの世界ではあちこちで変化の芽が生まれています。
例えば、インターネット上にディスクスペースを提供するサービスをプロバイダが始めています。Webデスクトップとも呼ばれるこうしたサービスを使うと、Web上にファイルを置けば、出張先のオフィスやネットカフェ、ホテルのパソコンなどからファイルを参照したり、ダウンロードすることが可能になります。そう、手ぶらなのに、重要な書類を安全に「持ち歩ける」のです。
上述したディスクスペース提供サービスは個人向けですが、法人向けのサービスも登場してきました。例えば、日立ソフトウェアエンジニアリング株式会社が提供を開始している「セキュア・プロジェクト・オフィス」がそれです。このサービスは、机上のPCと同じ感覚で仕事ができるワークプレイス環境が実現されており、インターネットに接続できる場所なら、どこでも作業が行えます。ビジネスパーソンの仕事が効率的かつ快適に進められるだけでなく、イントラネットを超えて複数の企業がプロジェクトを実行する際にも有効でしょう。イントラネットはあくまでも社内の情報共有システムであり、他の社員の利用は考えられていません。しかし、仕様書や設計図などを受発注企業同士が共有し合って、プロジェクトを進めたいというニーズはあります。それを容易に実現するのがWeb上にワークプレイス(デスクトップ環境やオフィス環境)を仮想的に構築するサービスなのです。イントラネットやグループウェアなどの社内の情報共有システムをまだ構築していない中堅・中小企業も、こういったWeb上で提供されているサービスを利用すれば、すぐに情報の共有が可能になります。
このように、Web上で提供される情報共有サービスが続々と実現されています。これらは、Webで提供されるソフトウェアやサービスに詳しい社員が少ない中堅・中小企業にはもってこいの存在です。引き続き、ウオッチしておきたいものです。(文・フリーランス ライター 小林 秀雄)
(2008年1月7日掲載)