民営化した日本郵政株式会社がSaaS型の情報システムを採用しました。SaaSとは、「Software as a Service(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)」の略で、自社のサーバにソフトウェアをインストールしてシステムを運用するのではなく、ネットワークを介して他所にあるソフトウェアを利用する形態を指します。その形態を名実ともにビッグな企業が採用したことでSaaSの認知度は今後一気に高まりそうな予感がします。さらに、興味深いのは、SaaSのソフトウェアをそのまま利用するのではなく、自社のニーズに合致した機能を新たに開発したことです。
SaaSは、これまで、開発会社がサービスとして提供しているCRMやSFA等のソフトウェアを利用するもの、つまり、パッケージソフトと同じように、出来合いのソフトウェアをそのまま利用するものでした。しかし、今回のシステムはSaaSの仕組みで独自のアプリケーションを搭載しています。つまり、SaaS型でありながら、カスタムアプリケーションを開発したというわけです。また、SaaSのメリットは、顧客がシステムの運用面を気にする必要がないことです。情報システムコストの多くが運用面にあるため、SaaS型の情報システムを採用すれば、コストの削減が期待できます。今回のケースは、上述したメリットを享受しつつ、自社の業務に特化したソフトウェアも利用できるという新しいシステム構築手法を示しています。SaaSは新しいフェーズに入ったと言えるでしょう。
ちなみに、今回のシステムは、郵便物に関する問い合わせを受け付け、報告すること等を目的とした社内情報共有システムであり、日立ソフトウェアエンジニアリング株式会社が構築を支援し、株式会社セールスフォース・ドットコムがオンデマンド・プラットフォームを提供しています。
SaaSを利用しているのは、中堅企業や中小企業が多いのですが、ソフトウェア会社が提供しているパッケージソフトでは自社の業務が行えない業種や業態もあると思われます。自社独自のソフトウェアを搭載できるSaaSは、そのような企業にとっても有力な選択肢となるのではないでしょうか。(文・フリーランス ライター 小林 秀雄)
(2007年11月5日掲載)