前回は、会計業務の文書がXBRLというデータ形式に統一されていく、という話を取り上げました。今回は、XBRLの本家(XBRLは分家あるいはXMLの一方言)とも言えるXMLについてお話します。
XMLという言葉に馴染みがなくても、HTMLなら聞いたことがあるという人も多いことでしょう。HTMLは、Webの画面を作成するための言語です。それに対して、XMLは、あらゆるデータと言って良いほど多くのものを対象としています。前回もお話したように、Webショップの注文処理に利用されていたり、ブログに利用されていたりという具合です。そう書くと、「いずれも、インターネットの世界で使われているケースで、会社の業務とは関係なさそう」と思われるかもしれません。実は、XMLは静かにオフィスの世界に入り込んでいるのです。例えば、売上げや在庫などの数値データを扱うリレーショナルデータベース(RDB)は、企業の基幹システムに欠かせないソフトウェアですが、大手RDBベンダーがXMLのサポートを開始しました。また、ワープロソフトや表計算ソフトなど、エンドユーザが利用するオフィスソフトもXML対応になっています。このように、会計文書のXML(XBRL)化 だけでなく、会社で利用する様々なソフトウェアのXML対応が進んでいます。
企業情報システムのXML化は、ユーザの視点から見ると、2つのメリットが考えられます。1つは、データ形式を共通化することで企業間における受発注などの電子化や電子商取引が容易になるということです。もう1つは、社内にある異なるデータ形式を持つ様々なデータを統合して利用できるようになるということです。前者も業界全体のビジネス取引から見ると非常に有効ですが、個々の企業にとって身近で分かり易いのは後者でしょう。例えば、営業レポートを作成する場合、データベースから売上げデータを引っ張ってきて、プレゼンソフトで見栄えを整え、さらにワープロソフトで文書を加えるといったことが簡単にできるようになります。また、数値データと文書情報のデータ形式が同じなら、工場の生産管理システムや在庫管理システムの数値データと、生産指示を書いた文書情報を組み合わせることが容易になるので、間違いのない的確な指示をスピーディに伝達することも可能になります。
現状では、同様のことをしようとすると、ソフトウェア毎にデータ形式が異なるので、種々の変換操作をして実現する必要があり手間が掛かります。しかし、すべてのソフトウェアがXMLという共通のデータ形式を採用し、そのソフトウェアを利用すれば人手による手間が解消されます。企業情報システムのXML化が進めば進むほど、社員は自らそのメリットを発見し、享受します。それがひいては経営のスピード向上にも繋がっていくはずです。
ITの標準化は、その多くがユーザには見えないところで進んでいますが、その標準化には必ずメリットが存在します。そのメリットを利用することがITを上手に活用することに繋がるのではないでしょうか。(文・フリーランス ライター 小林 秀雄)
(2007年9月3日掲載)