守りから攻めへ―。業績回復を果たした日本企業は経営のギアを切り換えています。攻めの経営のキーワードは、イノベーションです。イノベーションとは、こつこつと改善することではなく、従来とはまったく異なるビジネスモデルを考案し、実現することです。日々の業務改善が大切なことは言うまでもありません。しかし、それだけでは成長は期待できません。新しい経営手法を考案することによって、新しい顧客を獲得したり、顧客にさらに多くの商品やサービスを購入・利用してもらうことが成長戦略のカギを握っています。
イノベーションを起こしていくために、重要なことはコラボレーション(他社との協業)です。会社の中には様々な能力を持つ人材がいます。しかし、業種という枠や企業の伝統を超えて発想することは容易ではありません。そこで、企業経営者に注目されているのがコラボレーションです。異なる能力を持つもの同士が連携することによって化学変化を起こすように、従来考えられなかった手法や商品、サービスを生み出すことが可能となります。
コラボレーションといっても抽象的なので、例を挙げることにします。それは、日本マクドナルド株式会社とTBS(株式会社 東京放送)の取り組みです。その中身を簡単に言うと、ワンセグ(携帯電話向けの地上デジタル放送)の視聴者にマクドナルドの商品が割引になる電子クーポンを発行するというものです。TBSは広告スポンサーに対して新しい付加価値を提供し、マクドナルドは印刷費用や配布費用がかかっていた紙のクーポンによる販促コストを低減することが可能となります。テレビ視聴者にとっても、テレビ番組を楽しみながらクーポンが手に入るというメリットが生じます。放送局は広告の枠を超える商品を、外食産業は物理的なクーポンを超える販促手法(低コストで視聴者にピンポイントで提供)を生み出そうとしているわけです。
では、このようなコラボレーションを迅速に実行するために、ビジネス活動のインフラとなっているITに何が必要でしょうか。それは、標準技術を採用することです。特に重要なことは、企業間のネットワークのインターフェース(つなぎの部分)とデータ形式(企業間でやり取りするもの)に標準技術を採用することです。システムのつなぎやデータのやり取りに手間取れば、貴重な時間を浪費してしまいます。一方、互いが標準技術を利用していればすぐさまコラボレーションすることが可能です。この差は大きいでしょう。
自社のシステムは標準技術を採用しているかどうか、一度チェックしてみてはいかがでしょう。(文・フリーランス ライター 小林 秀雄)
(2007年6月18日掲載)