企業の経営をめぐる最近のキーワードはなんと言っても可視化ではないでしょうか。(くだいた表現の「見える化」という言葉もよく使われています。)可視化という言葉がキーワードとなっているということは、経営者にとって「見えにくくなっている」ことが増えてきて、それが経営を阻害する要因となっているからでしょう。
ITの世界でも可視化がキーワードとなっています。ITの世界でいう可視化には2つの種類があります。1つは、ITそのものを可視化すること。もう1つは、経営に必要な情報を可視化することです。前者は、20年、30年と使い続けてきたレガシーシステムの問題を指すことが典型です。パソコンを使っていて、いろいろなファイルが溜まり、参照したいファイルが見つからないということがありませんか?それと同様に、長く使用している情報システムは様々なソフトウェアが追加・修正されていくうちに、構造が複雑になってきます。それをスパゲティ状態といいます。それを放置しておくと、新しいことを始める=新しいソフトウェアを導入するときに、思ったように動かないという事態を招きます。そこで、現状のITを可視化することが必要となるわけです。
もう1つの、経営に必要な情報の可視化とは、例えば「昨日の時点の売上高」がわかるということです。経営者によって、それが受注情報になるかもしれません。要は、欲しいときに欲しい情報が入手できることです。それを可能にするのはITの力です。
上述した課題を解決するIT手法やIT製品は数多くあります。ITの全体最適を図るエンタープライズアーキテクチャ(EA)という手法、ビジネスプロセスの変化に合わせてITを柔軟に構築できるサービス指向アーキテクチャ(SOA)という設計手法、企業のITリソースを一元管理するERPパッケージ、さらには企業が持つ様々なデータを分析するツールであるビジネスインテリジェンス(BI)等々。このようにツールは多種多様にあるのですが、どんな製品・ツールを選択するかは、目的によって決まってきます。データ(販売データや受注データ)を可視化したければ、ERPパッケージによってデータを整備することがカギとなります。そういうデータは見られるけれど、顧客の嗜好・行動を分析してマーケティングや開発に生かしたいなら、BIツールを利用することが有効でしょう。経営の可視化は、明日のビジネスを切り開く原点です。自社にとって可視化したいテーマを洗い出すことから始めてみてはいかがでしょう。(文・フリーランス ライター 小林 秀雄)
(2007年6月4日掲載)