企業の業績が回復したことを背景に、IT投資に変化が生じています。その変化とは、IT予算を増加させる企業が増えていることです。情報システムのユーザー団体である(社)日本情報システム・ユーザー協会の「企業IT動向調査2007」によると、2006年度にIT予算を増やした企業は過半数の52%に達し、2007年度も引き続き増加させる意向が顕著とのこと。しかも、売上高に対するIT予算の比率が上昇傾向にあるのです。調査対象の企業は大手企業が中心です。大手企業の姿勢には、「業績が良いうちに、さらに競争力を向上させよう」という経営者の意思が感じられます。
では、大手企業の経営者が関心をもっているIT投資はどのような分野でしょうか。上記の調査のトップ3は、(1)業務プロセスの変革、(2)経営トップによる迅速な業績把握、情報把握、(3)日本版SOX法(金融商品取引法)への対応となっています。日本版SOX法への対応は法令順守であり、上場企業にとって義務とも言えるでしょう。注目すべきは、IT投資の目的のトップに業務プロセスの変革があがっていることです。第2位の分野からは、企業の状態をリアルタイムに把握したいという経営者の思いが感じられます。その目的は、状況に応じて素早く業務を遂行することにあるはず。しかし、経営者が思ったようには業務プロセスが回らない、あるいは業務スピードが遅いのが多くの企業が抱える実態のようです。
そこで、ITを活用してもっとスピード感あふれる業務プロセスを構築したいと大手企業の経営者は考えているわけです。大手企業の経営テーマは中堅・中小企業にも言えることです。大手企業が取引先であれば、取引先からもっとスピードを求められることになるでしょう。また、大手企業と競合している場合なら、ライバルと伍していくために素早い業務プロセスの構築が不可欠です。
業務プロセスの変革は、ITのみで成し得るわけではありません。しかし、ITを活用すればもっとスピードが上がることは確実です。まず、受注・在庫管理・配送といった顧客対応に直結する一連の業務プロセスの変革から取り組むことが投資対効果の観点から有効と言えるでしょう。(文・フリーランス ライター 小林 秀雄)
(2007年5月21日掲載)