IPv6という言葉をご存知でしょうか?森政権の時代に「日本を世界一のインターネット先進国にする」ことを目指したe-Japan戦略が打ち出されました。その頃、森首相が盛んに口に出していたのがIPv6です。このIPv6のIPはインターネットプロトコルの略で、v6はバージョン6を意味します。IPはインターネットの規格と考えればよいでしょう。ちなみに、現在のIPのバージョンは4です。つまり、IPv6は次世代インターネット規格です。
IPv6が考えられた背景にあるのは「IPアドレスの枯渇」問題です。企業のIPアドレスは、「○○.co.jp」というように表現されています。そのIPアドレスを資源と考えると、IPv4の資源は約43億個で、いずれ使い尽くしてしまうことが確実となっています。そこで、無限とも言えるIPアドレスを持つIPv6が考案されたのです。そして、その次世代インターネット規格がすでにスタートしていることをご存知でしょうか?
身近なところでは、新しいパソコンOS「Windows Vista」がIPv6に対応しています。しかも、VistaではIPv6がデフォルトになっており、IPv4にも自動で切り替わるので、例えばIPv6に対応していないアプリケーションを利用する場合でも、ユーザはこれらを意識することなくサービスを利用できます。また、ISP(インターネットサービスプロバイダ)でもIPv6接続サービスが出始めています。さらに、IPv6が持つマルチキャスト(一つのデータを同時に特定複数のコンピュータに送信する技術)という特徴を生かして、コンビニの本部が店舗端末に映像を配信するというIPv6の実利用もスタートしています。ちなみに、IPv6への本格移行(IPv4のアドレスが発行されなくなる時期)は、いろいろな見方があるのですが、2010年頃というのが有力です。
つまり、我々は現在、IPv6への移行期にいるのです。そのため企業には、自社のIPv6への移行に備えて、考えておくべきことが2点あります。一つはVistaをどうするかです。IPv6対応が「今のところ」必要なければ、Vista導入の際にIPv6をOFFにしておくことをお勧めします。IPv6はIPv4と互換性がないため、IPv6のネットワークに接続する際のセキュリティについて企業は再度検証・確認する必要があるからです。Vistaについては、特に何も設定をしなければ、IPv6のネットワークに自動的につながる、という点を理解しておくことが重要です。
もう一つは、あと10年間ぐらいはIPv4とIPv6を併存して利用する時期があり、ネットワークの運用管理が複雑になるので、それを見越した対策を考えておくことです。自社でネットワークを運用管理している企業では、担当者レベルでIPv6に関する運用管理ノウハウを習得する必要があります。さらに、これからネットワーク機器を導入する際には、IPv6対応済み製品を導入することが大切です。IT製品の使用期間は5年間ぐらいが一般的です。2007年に導入した製品は2012年まで使用すると考えると、IPv6に対応した製品でないと、投資がムダになる可能性があります。
企業間の取引もインターネットベースの電子受発注へと進んでいます。それを考えると、すでに始まったIPv6時代にスムーズに移行していくことは企業活動の根幹といえるでしょう。「突然、取引ができなくなった」という事態を招かないよう、付き合いのあるITベンダーに話を聞くなどして、早めに対策を打っておくことをお勧めします。(文・フリーランス ライター 小林 秀雄)
(2007年4月2日掲載)