





第152回 『ゴム』
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■ 昔の工業製品は
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プラスチックが身近になる前までは、世の中の工業製品のほとんどが次の5つのもので作られていたと言えるかもしれない。それは、木と布、ガラスと鉄、そしてゴムである。飛行機や蒸気機関車、自動車などを思い浮かべても、5つの構成要素以外のものを見つけるのは難しい。
ゴムは、つい100年程前まで、人類の様々な工業製品の基礎を形作る存在の一つだった。そして、時代が進むにつれ、この5つの存在は次第にプラスチックやアルミニウムなどの素材に代わってきた。ゴムも例外ではなく、天然の素材から化学合成物質へと変化を遂げてきたが、その役割は以前と変わらず、現代社会において重要な役割を果たしている。今回は、そんなゴムについて調べてみた。
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■ ゴムの歴史
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天然ゴムの歴史は、6世紀のアステカ文明の頃まで遡るが、西欧に初めてゴムの存在を知らしめたのは、あのアメリカ大陸の発見者、コロンブスだと言われている。アメリカ探検のとき西インド諸島のハイチ島に立ち寄った際、現地の住民がゴム鞠(まり)で遊んでいるのを目撃した記録が残されている。その後、天然ゴムはスペインに運ばれ、単に玩具や文字消しとして使われたという。ちなみに、ゴムを表す「ラバー(Rubber)」は、当時の名残で、英語の「rub out(こすって消す)」から来ているらしい。
ゴムの製品化に初めて成功したのは、チャールズ・グッドイヤーという米国人。1839年、ゴムに硫黄を混入して加熱すると、ゴムが堅くなり、さらに弾力性も高まること(加硫法)を発見し、冬は固まり、油に溶けるなど、工業用の材料に適さなかったゴムの改質に成功した。その後、イギリスの獣医ジョン・ボイド・ダンロップが1888年に空気入りタイヤを発明(実用化)し、また自動車産業の出現によって、ゴムの使用量が飛躍的に伸びることとなる。
ちなみに、「グッドイヤー」と「ダンロップ」という名称は、モータースポーツのブランドとして現在も存在している。もちろん、ゴム産業の草創期に活躍した2人の名前から来ている。
実は、ゴム産業の歴史には、こうした技術の発展の裏に、原料についてのストーリーが存在する。ゴムは、もともと植物から採取される天然原料だけを使って作られていた。中でも最良のゴム(ラテックス)を多量に出すのは、南米アマゾン流域にある品種だが、工業原料として注目されると、ブラジル政府がゴムを独占し、ゴムの種子や苗の持ち出しを厳重に禁止した。しかし、1876年にヘンリー・ウイッカムという英国人が、ブラジル政府の厳重な監視を掻い潜り、ゴム(種子)の輸出に成功する。これをロンドン郊外で発芽させ、セイロン島やシンガポールに移植し、栽培ゴムの製造を始める。その後、伐採によってブラジルのゴム産業は衰退し、栽培によって徐々に生産量を伸ばしたイギリスがゴム生産を独占していくこととなる。
こんな結末を生むとは、ウイッカムも想像していなかったに違いない。
(2008年3月24日掲載)
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