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モノがたり



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第150回 『ネジ』

■ モノづくりの必需品

人類が生み出した最高の道具とは何か?もし、こんな質問があったら何を思い浮かべるだろうか。はさみ、コップ、スプーン、シャベル、ハンマー、ノコギリ・・・。どれも、人類の生活、もっと言えば文化の形成に無くてはならない道具ばかりだ。しかし、その中でも、ネジはひと際重要なものではないだろうか。ネジがなければ、世の中の家電製品のほとんどを作ることができず、住む家や働くビル、川を渡る橋なども造るのは難しいだろう。規模によって違いはあるが、テレビなどの家電製品には50〜100本、自動車で3000本、ビルにいたっては50万本以上のネジが使われることもあるという。そんな目で改めて見渡してみると、机周りの狭い範囲であっても、数十本のネジを簡単に発見できる。今回は、そんなモノづくりの必需品であるネジについて調べてみた。


■ ネジの歴史

ネジの起源には、二つの面白い説がある。ひとつは、巻き貝をヒントにした説で、古代人が浜辺で貝掘りをしていた時に尖った巻き貝を見つけ、これを道具に使い出したというもの。もうひとつは、木に巻き付くつる草をヒントにした説。つる草に巻き付かれた木はその部分が窪み、巻き付いていない部分が太くなる。そして、つる草が枯れると、ちょうどネジのような形状が残り、これがネジのヒントになったという。
また、木の棒にネジ山を刻んでオリーブやぶどう等の果汁を絞る圧縮機として使用された記録もあるが、現在のような、モノ同士を連結するものとして登場するのは、ルネサンス期になってからのこと。かの天才、レオナルド・ダ・ビンチによって、ネジが中心的な役割を果たす様々な装置が考案・設計された。ちなみに、ANAの以前のロゴマークに使われていたヘリコプターも、このネジの発想から生まれたものである。彼のスケッチには、ネジの発想だけでなく、ネジ切り施盤、つまり工業製品としてのネジの製造方法も残されている。

その後、イギリスでは産業革命が進むにつれて、ボルトやナット類の需要が爆発的に増えるが、ここで問題が起こる。ネジを必要とする機械メーカなどが、それぞれ勝手に独自のサイズのネジを発注していたため、製品の数だけネジの種類が存在し、部品として非常に不便だった。この問題を解決したのが、サー・ジョセフ・ウイットウォースという人物。彼は独自にネジのサイズを調査して、1841年には「ウィット・ウォースねじ」と呼ばれるネジの形式を発表し、その普及活動に努め、世界で初めてネジの標準化に成功する。その後、アメリカやヨーロッパの各国でもそれぞれ独自のネジ規格が作られたが、1957年にISO(国際標準化機構)によって全世界共通規格が制定され、これが現在も一般的な規格となっている。

日本人とネジの出会いは1543年のこと。種子島に漂着したポルトガル人が携えていた鉄砲に、ネジが使われていた。銃底を塞ぐためのネジと、それが捻じ込まれる銃底の雌(め)ネジがあり、これらが日本における最初のネジと言われている。ちなみに、日本語のネジの語源は、ご想像の通り「捻じ込む」ことから来ている。また英語でネジを表す「screw」は、ラテン語の「scrofa」が語源で、これは雌の豚という意味。あのネジのような尻尾から来ている。
(2008年2月25日掲載)

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