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第147回 『レコード』

■ LPレコード再び

アナログレコードプレーヤーが再び脚光を浴びている。主に40代〜60代後半の方々が、CDプレーヤーの購入を機に、押入れに眠らせていたアナログレコードを再び楽しむために購入しているという。今から数十年前、LP版のレコードは今のCDと同じくらいの価格で、当時は大変に高価な品物だった。お小遣いを何ヶ月も貯め、本当に大変な思いで購入したものである。きっと、アナログとデジタルの違い以上に、音もずいぶん違って聞こえることだろう。最近では、アナログレコードファンが増えるにつれ、復刻版LPレコードなども発売されるようになり、今や立派な大人の趣味のひとつになっている。今回は、そんなレコードについて調べてみた。


■ レコードの歴史

レコードの発明といえば、かの発明王エジソンを思い浮かべる人も多いことだろう。しかし、現在のレコードの原型となるものを発明したのは実はエジソンではない。彼が発明したのは蓄音機。つまり、音を録音して再生することのできる装置である。蓄音機といえば、大きな朝顔のような拡声装置があって、横に付けられたゼンマイを手で巻いてレコードに針が落とすものを想像してしまう。そのため、蓄音機とレコードは一緒に作られ、蓄音機を発明したエジソンがレコードの生みの親だと思い込んでしまう人もいることだろう。ちなみに、エジソンが発明したのは「フォノグラフ(Phonograph)」と呼ばれる円筒型(ロウ管式)の蓄音機。1877年(明治10年)に発明されたこの蓄音機は、人の声で薄膜を振動させ、それに付いていた針が柔らかいロウ管に振動を溝として刻む仕組みで、蓄音部分の形状は版というよりバウムクーヘンのような形をしている。

実際にレコードを発明したのは、ドイツから米国に移民したエミール・ベルリナーという人物。彼が1887年に「グラモフォン」と呼ばれる円盤型のレコードを発明し、特許を申請している。その後1890年代には、円筒型と円盤型、つまりエジソンとベルリナーの間で、市場の主導権を握るための開発競争が繰り広げられることとなる。しかし、次第に大量複製に優れている円盤式が主流となり、エジソン陣営も最後には敗北を認め、円盤型のレコードを製作することになる。そう、まるでビデオのVHSとβ、次世代DVDの規格争いのようなことが、19世紀にも行われていたのである。

ちなみに、この規格争いにはもうひとつ面白い話がある。両者の記録方式は、エジソンがタテ振動方式だったのに対し、ベルリナーは溝を横に揺らして音を再生するヨコ振動方式。当時はベルリナーが勝利するが、その60数年後の1955年には、タテ振動とヨコ振動を両立させた、お馴染みのステレオレコードが発売されることとなる。結局、エジソンとベルリナーの発想は、仲良く後世に残ったのである。
(2008年1月15日掲載)

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