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第143回 『ピアノ』

■ 楽器の王様

世の中には様々な楽器が存在するが、人々に最も知られている身近な楽器のひとつにピアノがある。幼い頃には先生の伴奏で歌を歌い、また習い事としてピアノの練習に明け暮れた方も多いことだろう。しかし意外なことに、ピアノはわずか300年程の歴史しかない。また、そのはじまりは西洋の音楽の歴史で言えば、音楽の父といわれるJ.Sバッハやヘンデルが大活躍していた時代である。それから現在に至るまで、ピアノは多くの人々に愛され、親しまれている。今回は、そんなピアノについて調べてみた。


■ ピアノの歴史

ピアノの祖先は、その形状などから「チェンバロ」であるという説もあるが、両者を比較すると、音を出す方法自体が大きく異なっている。どちらの楽器も、中に各音程を再現する弦が張られていて、ここから音が出る。ただし、チェンバロが音を出す仕組みは、実はギターに近い。指やピックで弦を引っ掛け、かき鳴らして音を出すギターのように、チェンバロも弦を引っ掛けて音を出す。しかし、指ではなく鍵盤に繋がったツメで引っ掛けるため、音に強弱を付けることができない。

これに不満を持ち、奏者の弾き方によって音の強弱を調整できるように、弦をハンマーで叩く仕組みを考案したのが、ピアノの生みの親といわれるイタリアのバルトロメオ・クリストフォリという人物。そして、17世紀後半にピアノの原型となるものを発明する。彼は、この新しい楽器の名前を「クラヴィチェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォルテ」と名付けた。弱い音も強い音も出せるチェンバロという意味で、これが次第に短くなって、ピアノと呼ばれるようになった。

その後、ピアノは約200年かけて徐々に現在の形となるのだが、その進化の途中では、様々な偉大な音楽家の作風にも影響を与えていたらしい。例えば、1780年代に活躍したモーツァルトの頃のピアノは、まだ音量で力強さを表現することが難しく、音域も5オクターブ、60鍵ほどであった。しかし、そんな当時のピアノの性能が、あのモーツァルトの明るく軽やかなピアノ曲を作り出すことに結びついたと言われている。ちなみに、その後に登場するベートーヴェンの頃には、音域が拡大されて68鍵から73鍵までになり、音量も大きく、強弱の表現力も格段に向上した。この音の広がりが、あの壮大な表現を生み出す結果に繋がったとも言われている。
もし、モーツァルトとベートーヴェンの登場時期が入れ替わっていたら、今とは違った名曲を作っていたのかもしれない。
(2007年11月12日掲載)

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