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第137回 『石鹸』

■ 石鹸とは

石鹸とは何か?という質問は、簡単と思いきや、いざ答えようと考えると、なかなか難しい質問ではないだろうか。「汚れを落とすもの」と答えるのは容易だが、「そもそも汚れとは?」などと考え出すと頭が混乱してしまう。汚れとは、一般的に、泥汚れや油汚れ、あるいはソースなどによるものが考えられるが、実は石鹸の役割は、その中でも主に水に溶けない油汚れを担当するものである。これは石鹸の正体を知ると良く分かる。石鹸の「鹸」という字は、訓読みで「アク」。そう、石鹸は油とアクを混ぜて作られたものなのである。
石鹸は油汚れと出会うと、まず石鹸自身の油が油汚れに溶け込む。それが、水に溶けるアクとともに水に溶けて落ちていく。これが油汚れを落とす石鹸の仕組みである。ちなみに、洗濯や皿洗い用の洗剤も基本的には石鹸と同じ仕組み。今回は、そんな石鹸について調べてみた。


■ 石鹸の歴史

汚れを落としたい、この思いは大昔からあったのだろう。石鹸の歴史は、なんと紀元前3000年まで遡るといわれる。石鹸は、古代ローマ時代初期のローマの神殿で偶然、人々の前にその姿を現す。神殿では神に供える羊を焼く儀式が行われており、木を燃やして羊を焼き、羊から油が落ち、焼き終わった後には羊から出た油と木の灰が残り、これが石鹸となった。また、油と灰が染み込んだ土は、汚れを落とす不思議な土として貴族階級に珍重されたらしい。ちなみに、石鹸を表す「soap」は、この儀式の行われた神殿のある丘の名称(Sapo)から来ているともいわれる。

日本で初めて石鹸が作られたのは、1873年(明治6年)のこと。牛の脂肪と茄子の灰汁を釜で混合した棒状の洗濯用石鹸が作られ、1本10銭で売られた。当時、白米が10kgで22銭、大工の日当が50銭、銭湯の入浴料が1銭5厘だったことから、石鹸は非常に高価なものだったことが分かる。1890年(明治23年)には、国内初の石鹸ブランドが登場する。長瀬富郎という人物によって作られた花王石鹸である。まるでメロンのように、桐箱に3個入れられて、35銭で発売されたという。現在の5、6,000円といったところだろうか。そんなこともあり、石鹸が庶民の間で使われるようになったのは、明治も後期になってからとなる。
紀元前3000年に発見(発明)された石鹸は、約5000年の長い時を経てもなお、生活必需品として多くの人々に愛されている。
(2007年8月27日掲載)

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