





第135回 『円』
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■ お金の不思議
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お金は少し不思議な存在である。1万円札が10枚くらい財布に入っていようものなら、途端にウキウキした気持ちになったりするが、1万円札自体には価値はない。その紙幣が1万円分の品物やサービスと交換できる保証があるからウキウキするだけで、そういう意味では物品交換保証書のような存在である(ちなみに、1万円札の製造費は2円とも聞く)。詳しいことは分からないが、おそらく硬貨にしても同じことが言えるだろう。500円玉も、金属そのものの価値として、500円以上するとは考えにくい。つまり、国(政府)が「円」の価値を保証しているがゆえに、お金は財布に入っていて嬉しいものなのだ。そんな事を考えると「日本よ、ありがとう!」という気持ちが改めて湧き上がってくる。今回は、そんな円について調べてみた。
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■ 円の歴史
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円は明治時代からその歴史の幕を開ける。円という単位の新しい貨幣制度がスタートしたのは明治4年のこと。そして円の下には、さらに「銭(せん)」や「厘(りん)」という10進法の単位が組み込まれた。しかし、当時は江戸時代からようやく開国し、近代日本への道を歩み出したばかりで、まだまだ国の信用力は低かった。そんなこともあってか、発行された1円貨幣は、それ自体が1円の価値がある金貨であった(補助通貨として銀貨や銅貨も発行された)。つまり、現物主義。当時の1円貨幣に使用されている金の量は1.5g。ちなみに、金の含有量は明治30年には750mg、昭和12年に290mgと少なくなっていく。
また、紙幣も存在していた。明治政府が引き継いだ藩札を整理するために作られた太政官札、民部省札、大蔵省兌換証券、開拓使兌換証券などである。しかし、バラバラなデザインや国の信用問題などから、商取引での使用には不都合な場面が多かったようである。正式な紙幣が最初に登場したのは、明治6年に発行された「国立銀行紙幣」。正式名称は「改造紙幣」(偽札を表現しているような名前だが)で、20銭〜10円までの5券種あった。ただ、この紙幣もなかなか信用してもらえない場面が多かったようで、国内では紙幣が、海外との取引では1円金貨が使われていた、という話も伝わっている。
ところで、円の語源はと言うと、確かな話ではないが非常に面白い説がある。それは中国貨幣との同一説。円という文字は昔の紙幣などを眺めると分かるが、「圓」の略字である。一方、中国の貨幣単位である「元」も元々は圓の略字。つまり、同じ文字から生まれた異なる略字が日中で使われている、というもの。ちなみに、韓国の「ウォン」も元は「圜」。圜と圓を同じとする漢字辞書もあり、圜も圓から生まれた貨幣単位だという説もあるらしい。単なる一説ではあるが、大昔から交流してきたお隣同士。こうした事実があったとしても少しも不思議ではない。
(2007年7月30日掲載)
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