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第129回 『オルゴール』

■ 元祖携帯音楽プレーヤー

オルゴールは実に不思議な存在である。櫛(クシ)型に切られた鉄板を円筒に付けられた突起が弾く、ただこれだけの仕掛けで音を鳴らす。音も至ってシンプルで、旋律を一音ずつ弾き出すのみ(種類によっては和音が可能なオルゴールもある)。でも、オルゴールの音が流れると、皆無口になってオルゴールを一心に眺め、一音一音を熱心に聴き取ろうとしてしまう。テレビもラジオも無い時代に生まれた自動演奏器ゆえ、当時と同じ「静かな」聴く姿勢を自然に求められる、という存在なのかもしれない。今回は、そんな静かな元祖携帯音楽プレーヤー、オルゴールについて調べてみた。


■ オルゴールの歴史

オルゴールは教会の鐘が起源となっている。14世紀のヨーロッパの教会では鐘(カリヨン)を紐で引っ張って鳴らし街の人々に時を知らせていたが、その後、時計と組み合わされ自動的に鐘が鳴る、自動カリヨンと呼ばれるものができる。これがオルゴールの元祖といわれている。つまり、オルゴールは時を知らせる鐘の音が始まりだったのである。
時計と時を知らせる鐘の音。この組み合わせは、時代を経て、懐中時計へと発展していく。時計の中に教会のカリオンのような仕掛けを組み込み、時が来ると鐘が鳴る。しかし、この形式では懐中時計に必要な小型化に限界が出てしまう。そこで、鐘の代わりに鉄で作る櫛型の発音部分を組み込み、これを弾いて音を出すことが考え出された。1796年、スイスでのこと。発明したのは、時計職人アントワーヌ・ファーブルという人物。彼はこの仕掛けを用いて、懐中時計をさらに小型化することに成功した。また、櫛型の発音部分に別々の音を設定することで、メロディを奏でることもできるようになる。そう、現在のオルゴール(原型)の誕生である。

その後、オルゴールは時計・印鑑・煙草入れなどに組み込まれる音楽発生器として広まり、19世紀になって音楽を専用に楽しむ、現在のオルゴールが出現したと言われている。しかし、20世紀に入ると、蓄音機やラジオ・映画などの登場によって、次第に生産台数を減らすこととなる。現在は嗜好品の意味合いを強くして、お土産、美術品などとして存在している。
ちなみに、「オルゴール」という呼び名は日本独自のもの。安土桃山時代にオランダ人によって持ち込まれたから、江戸時代に持ち込まれたオルガンからとった、といった説があるが、はっきりとしたことはわかっていない。英語ではシンプルに「MusicBox」と呼ばれている。
(2007年5月14日掲載)

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