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モノがたり



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第121回 『ペット』

■ 空前のペットブーム

空前のペットブームが続いている。少し前にチワワを起用した消費者金融会社のCMが人気を博していたが、最近ではペット関連のテレビ番組やペット用品を専門に扱ったカタログなどもよく目にするようになった。ペットの種類も犬や猫、ウサギ、モルモット、フェレットなどは当たり前で、中には「グリーンイグアナ」や「チャコリクガメ」など日本には生息していない珍しい爬虫類をペットとして飼っている人さえいる。また、ペット関連のビジネスも多岐にわたり、最近ではペットカフェやドッグラン(犬を自由に遊ばせることができるコミュニティスペース)が完備されたマンションなんてものまであるらしい。
まさに隆盛の一途をたどる日本のペット事情であるが、その一方で、飼い主による虐待やペット業者の経営不振による飼育放棄など、まるでペットを玩具と勘違いしているような動物愛護を逸脱した悲しいニュースも少なくない。今回はそんなペットについて調べてみた。


■ 犬と猫のペット史

ペットの代表格といえば「犬」と「猫」であるが、犬や猫が人間のパートナーとして扱われた歴史は驚くほど古い。犬については、なんと旧石器時代後期のシベリアの遺跡から、人間に飼われていたとみられる丁寧に埋葬された犬の骨などが発見されている。つまりもともと狼であった犬が人間とともに生きるようになって、すでに数万年の歴史があるということ。お互いに進化して、言葉が通じ合ってもおかしくないくらいの深い付き合いだったのだ。そもそも犬が人間のパートナーとしての地位を得たのは、その勤勉さと忠義心からだった。人間が狩猟で暮らしていた頃には狩猟の手助けをし、定住して農業や牧畜を行うようになってからは、番犬役として外敵から家畜や農作物を守ることで、パートナーとしての地位を確立していく。
こうしてパートナーの地位を得た犬が、さらに現在のように可愛がられる、いわゆる愛玩犬となったのは、実はごく最近のこと。戦後の高度経済成長期に海外の珍しい犬などがどんどん輸入されるようになったのがきっかけとなった。また日本の住宅は、ご存知のように高度経済成長期といえども狭く、とても大型犬など飼う環境ではなかった。この2つの事由により、犬は狩猟の手助けでもなく番犬でもない、もっぱら可愛くて小さい愛玩犬として飼われるようになった。
さて、もう一方の猫については、紀元前3世紀のエジプトで人間にペットとして飼われていた記録があり、当時は神様としても崇められていた。その後4世紀頃にはヨーロッパの各地でペットとして猫を飼う習慣が拡がるが、ここで大事件が発生する。異教徒を魔女とみなし追放する魔女裁判において、猫は魔女に仕える魔性のものとみなされ、猫狩りを受けることになったのである。その後、名誉は回復され現在に至っている。

ちなみに日本においては、猫のほうが犬よりもペットとしての歴史は古い。平安時代には、猫は貴族階級の人々によって可愛がられていたという。この猫はいわゆる「唐猫(からねこ)」と呼ばれるもので、5世紀頃に「リビアヤマネコ」を祖先とする「イエネコ」がインドから仏教の伝来と共にシルクロードを経て中国に運び込まれた。そして日本にも、中国から仏教の教えを説く教典が運ばれる際、船内で教典がネズミにかじられないように、穀物は食べず、ネズミを捕まえて食べる猫が持ち込まれ、そのまま伝わることとなる。一見何もしなさそうな猫だが、実はその労働力によって日本に伝わり拡がったのである。人間も動物も、特技は大切なものである。
(2007年1月22日掲載)

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