





第120回 『赤外線、紫外線』
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■ 目には見えないけれど
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世の中には、目には見えないが確かに存在するものがある。例えば、空気、電気、電磁波の類い。目には見えないが、その存在は誰も疑うことはない。宇宙の彼方にあるといわれるブラックホールも、この手の存在なのかもしれない。赤外線、紫外線も目で見たことはないが、確かに存在するものの一つだろう。プリズムで太陽光線を分光すると見ることができる7色の光(ちなみに発見したのは、かのニュートンである)、その赤色の外側に存在するのが赤外線、反対の端、紫色の外側に存在するのが紫外線である。遠赤外線ヒーター、紫外線対策の化粧品など様々な商品で馴染みのある赤外線と紫外線だが、目に見える7色の外側にあるのだから、もちろん我々の目には見えない。ちなみに、ちょっと前のコタツが赤外線の暖かさと銘打って、赤々と暖かい光を発していたが、あれは見えない(けれど暖かい)赤外線をイメージとして伝えるため、赤いランプを灯したもの。もちろん赤外線は赤い色などしていない。今回は、そんな身近な赤外線、紫外線について調べてみた。
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■ 赤外線、紫外線の発見
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二つの不可視光線のうち、先に発見されたのは赤外線。1800年にイギリスの学者ウイリアム・ハーシェル(「ハーシェル式」と呼ばれる自作の望遠鏡を作り出し、天王星を発見した天文学者)が太陽スペクトルの色温度を一色ずつ寒暖計で測定した際に、端にある赤色のさらに外側でも温度が上昇することを発見し、赤外線の存在を明らかにした。科学の発見というものは、一つの発見をきっかけに続く傾向があるのか、反対側、紫色の外側にある紫外線は、その翌年、1801年にドイツの医師リッターとイギリスの物理学者ウォラストンにより発見される。実は、遡ること20数年、1777年頃には、太陽光線の中に紫色の光線があることがすでに発見されており、その時、さらに外側の紫外線の可能性についても調べられたことがあったという。しかし、赤外線とは異なり紫外線には温度に対する影響がないため、そこには何もないというのが常識となっていた。これを化学反応の観点から存在を突き止めたのが、先のリッターとウォラストンだった。
ところで赤外線、紫外線にはどんな特徴があるのだろうか。
まず赤外線は、高い透過力と温熱作用があり、ヒーターなどの暖房器具に使われている。赤外線は、人間の皮膚の表面から奥15センチまで届き、届いた部分の温度を上げる。その時点で人間は体内からの暖かさを感じるが、それと同時にもう一つの現象が起こる。暖かくなった部分に対し、体温を一定に保とうとする機能が働き、体温を下げるために血液がどんどん送り込まれる。つまり暖かくなった上に血行まで良くなるわけだ。本当に有難い光である。
一方の紫外線は、化粧品メーカーを中心とした宣伝効果によるものか、完全に悪者扱いされている。肌を黒くし、くすみ、シミ、皮膚の老化の原因になる。当りすぎると白内障やガンになる可能性もある。まさに悪者扱いだが、実はこの紫外線、食べ物からでは充分な量を摂取することができないビタミンD3を体内で作り出す働きがある。ビタミンD3は、カルシウムの吸収を助ける効果があるというから、身体の形成に重要な働きをするもの。つまり、色白を意識しすぎると、カルシウム不足のもろい骨の身体になってしまう可能性もあるのだ。世の中に、本当に不要なものは滅多にない、紫外線もその一つであろう。
(2006年12月25日掲載)
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