





第116回 『鶏肉』
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■ 鶏肉の消費量
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「10g」、何の数字だと思われるだろうか。これは、日本人が一日に食べる鶏肉の平均量(一人当たり)である。つまり1年で約3.6kg。実はこの数字は地域によって大きな差がある。全国でいちばん鶏肉が好きなのは九州の人々で、1年で約5.3kg食べている。それに比べ、新潟県・富山県・石川県・福井県など北陸の人々は、九州の半分以下、たったの2.3kgしか食べていない(ちなみにアメリカ人は1年に約35kg食べているらしい)。
この消費量の差はなぜ起こるのか、気候の違い、それとも鶏の育つ環境によるものなのか。これについては、実は鶏肉のルーツに関係しているといわれている。今回は、そんな鶏肉について調べてみた。
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■ 鶏肉はどこから
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鶏は、日本にはもともと存在せず、その昔、人間とともに中国、朝鮮半島を経て日本に渡来したといわれている。日本に伝わったのは、キジの仲間であるヤケイといわれる野生の鶏の一種で、インド東北部から中国西南部まで東南アジア一帯に広く分布するセキショクヤケイという鶏であった。この世界で4種類しかいないヤケイの一種が日本の鶏のルーツといわれている。これが、大陸からもっとも近い九州に持ち込まれ、最初は食用としてよりも朝の時を知らせる鶏として珍重され、日本全国に広がり、鶏の元祖となった。そのためか、全国各地に生まれた地鶏はそのまま食用として庶民の間に広がることはなかった。そもそも生産量が少なく、非常に高価だったのもあるのだろう。さらに地鶏の多くがその後、天然記念物に指定され食用は禁止となり、そのため専ら観賞用、目覚まし用として現在も楽しまれることとなる。今、地鶏として食べているのは、実はこの地鶏に他の品種を掛け合わせて雑種にすることで、天然記念物の対象ではなくしたもの。もちろん雑種といっても掛け合わせの時、美味しくなるように考えられているため、味の面ではむしろ向上している場合が多い。ちなみに、大正時代から戦前まで最高級の料理としてもてはやされていたシャモ鍋は一人前約3円。大卒初任給が25円の時代だから、たぶん今でいう一人前3万円以上。最高級松坂牛並みの値段だったのである。
九州で今でも多くの鶏肉が食べられていることや、鶏肉を骨付きのまま鍋に入れて食べるなどといった他の地域とは異なる習慣があるのも、最初に鶏に触れ、食用した歴史も永く、また外国の食習慣がダイレクトに伝えられたことが影響しているのだろう。
また、同じ鶏肉でも、お馴染みのブロイラーは、地鶏とはまったく別の歴史を持っている。ブロイラーが世界的に脚光を浴びるのは、第二次世界大戦時。戦争によって牛や羊の肉が不足したため、これを補うために発育が早い食肉として着目され需要が急増したとのこと。日本におけるブロイラーの始まりは、戦後のアメリカ駐留軍によってもたらされる。当初は本国から冷凍のブロイラーを持ち込んでいたが、徐々に国内の農家でも生産されるようになり、食文化としても日本人の間に広がっていったらしい。
ところで、鶏の呼び名である「にわとり」。これ、どこから来たかご存知だろうか。庭で飼われている鶏だから庭鶏と考えそうだが、実はまったく別の語源がある。日本各地に広がり、身近で飼われるようになった鶏の羽が赤かったためこの名が付けられたのである。赤は丹色(にいろ)ともいわれ、丹色の羽の鳥ということで丹羽鶏(にわとり)と呼ばれるようになったそうだ。
(2006年10月30日掲載)
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