





第115回 『メンチカツ』
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■ メンチカツの正体
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あまりにもポピュラーな存在であるため、いまさらメンチカツを見て、「このメンチカツはどうやって生まれたのか?」なんて考える人は少ないだろう。よく観察するまでもなく、メンチカツはハンバーグ(の元)に衣をつけて揚げたもの、ハンバーグフライである。つまりメンチカツのルーツは、ハンバーグのルーツであるドイツのハンブルグということになる。そして、あまりご存知ではないと思うが、そのハンブルグのハンバーグにもさらにそのルーツが存在する。肉を細かく刻み、ソースをかけて食べるタルタルステーキである。つまり、お肉屋さんのお惣菜部門の庶民派スターとしてお馴染みのメンチカツのルーツは、13世紀、ヨーロッパにまで攻め込み、置き土産にタルタルステーキの風習を残していった、モンゴロイド系民族であるタタール人(今のロシアの東部やモンゴルあたりを中心にした民族らしい)にまで遡ることとなるのだ。まさか「今日は面倒だからお肉屋さんでメンチでも買ってきて!」「ソースたっぷりでパンに挟むと最高だ!」などと慣れ親しんでいたメンチカツに、このような壮大な歴史があったとは驚きである。今回は、そんなメンチカツについて調べてみた。
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■ メンチカツの登場
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遠く13世紀のタタール人をルーツに、タタール→ドイツ→アメリカ→日本と遠大な旅路を経て伝わったハンバーグは、明治時代の日本において、めでたくメンチカツとなる。残念ながら、誰によって、いつ?という正確な記録は残されていない。しかし、ハンバーグに初めて衣をつけたのは、あの有名な老舗洋食屋、銀座煉瓦亭でのことと言われている。明治末期のことである。それ以前には、煉瓦亭においてすでにトンカツが生まれていることから、かなり信憑性のある話だと思われる。そして当時の料理名は「ミンツ・ミート・カツ(minced meat cutlet)」(ひき肉カツ)。メンチカツの語源は、この呼びにくい名前が江戸っ子の間でミンツカツ→メンチカツと変化していったものらしい。その後、メンチカツは関東に修行に来ていた神戸の料理人によって関西にも伝えられる。その際、聞き間違いによって、メンチがより英語に近いミンチになりミンチカツと呼ばれるようになる。関西では今でもこの「ミンチカツ」が正式名称であるが、別の理由もあるらしい。
その理由とは「メンチ」という言葉。ご存知の方も多いと思うが、関西において「メンチ」とは「メンチをきる」といった、かなり限定的で緊張した場面で使われる地域用語である。これに「カツ」をつけると、本来のメンチカツとはかなり違った意味合いになってしまう。そのため、料理人自らが「ミンチ」と発音を変えたというのだ。メンチカツ、実に逸話の多い食べ物である。
(2006年10月23日掲載)
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