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第111回 『ファスナー』

■ 正式名称は?

「ちゃんとジャンパーの○○○をしめないと寒いよ」「ジーンズの○○○がちょっと開いているよ」
こんな場合、どんな言葉を使うだろうか。「チャック」と答える方も多いと思うが、チャックという言葉は、実は日本でしか通じない純粋な日本語である。巾着(きんちゃく)からきた造語であり、1927年に日本で初めてファスナーが生産販売された当時、「チャック印」という製品が丈夫で広く使われていたため、それがそのまま愛称となったようだ。また、「ジッパー」というのも正式名称ではない。このお馴染みの言葉は今でこそ世界中で使われるようになったが、元は米国式の呼び名で、布を切り裂く音や、弾丸が物凄いスピードで飛んでいくときの擬音から来た言葉である。
正解は「ファスナー」。正式にはスライドファスナーが世界共通の名称である。今回はそんなファスナーについて調べてみた。


■ ファスナーの誕生

ファスナーがこの世に誕生したのは1891年のこと。米国人のホイットコム・ジャドソンが、靴ヒモを結ぶ不便さを解決するために考案したもので、チェーン製のアクセサリのようなものであった。ジャドソンはこの発明品をシカゴで開催された世界博「コロンビア博覧会」に出品した。これに当時弁護士であったルイス・ウォーカーが着目し、のちに「ユニバーサル・ファスナー会社」を設立し製造したものが、工業製品としてのファスナーの始まりとされている。
その十数年後、ギデオン・サンドバックという技術者が、ジャドソンの考案したファスナーに工夫を加えて、より軽く小さい「ホックレス・ファスナー」と呼ばれるものを作った。これは、それまでブーツだけだったファスナーの用途を衣服や財布にまで広げる革新的なものだった。
1923年にはアメリカのゴッドリッチ社が、発売するゴム製のブーツにこのホックレス・ファスナーを使用した。ちなみに、ファスナーのことをジッパーと表現したのはこの時が最初らしい。
そしてファスナーの知名度を劇的にアップさせたのが1920年代半ば、ジーンズへの採用だった。リー社製101Zというジーンズに採用された「42オートマチック」というファスナーがそれである。スプリングが組み込まれ自動ストッパー機能を実現した優れものであったが、それにしても凄い。いくら画期的とはいえ、ファスナーに拳銃のような名前が付けられていたのだ。
その後のファスナーの世界的な広がりは皆さんご存知のとおり。うれしいことに、世界シェアの6割を日本企業のYKKが製造している。
ちなみに、中南米では「シェレス・レランパゴス」と呼ばれている。そしてその意味は「稲妻」だそうだ。
(2006年8月28日掲載)

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