





第105回 『鍵』
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■ 防犯意識の高まり
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ふと気が付くと、以前と比べて鍵の数が増えている。皆さんもそう思われたことがあるのではないだろうか。鍵は増えこそすれ、減るということがなかなか考えにくいものである。
車を購入しては増え、「貴重品は鍵のかかる引き出しへ!」と言っては増え、新しいマンションに引っ越せば、「今度のマンションは防犯意識がしっかりしていて、ドアに最初から二つ鍵が付いている!」と増える。鍵の総重量100gなんてことも冗談の世界ではなくなってきている。
最近では、普通の鍵では安心できず、磁気やIC、暗号、指紋、はては網膜まで鍵にしてしまう状況である。今回はそんな鍵について調べてみた。
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■ 鍵の始まり
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財産や命を他人から守る。その最大の防御方法である「鍵」は、人が財産といえるものを持ち始めた頃から、既に世の中に出現していたようだ。
人類最初の鍵の原型となるものが出現したといわれているのは、紀元前2000年頃の古代エジプト。これは「エジプト鍵」と言われるもので、現在のシリンダー錠と原理的にほぼ同じ仕組みをもつ精巧なものだったようだ。その後、「古代ギリシャ錠」、「古代ローマ錠」、中世ヨーロッパでは18世紀前半頃に「ウォード錠」、18世紀以後には「タンブラー錠」などが次々と登場する。今日、鍵として広く利用されているのは「ピン・タンブラー錠」と言われるもの。これはアメリカの錠前師ライナス・イエールが1848年に発明し、特許をとったものである。
一方、日本における鍵の発達は、西洋とは少々違ったようである。
そもそも日本は、明治の時代になるまで、鍵をかける習慣がなかったようだ。なぜなら、生活に対する考え方が西洋とは違っており、いつでも、どこでも常に誰かに見られている生活様式が当たり前と考えられていたからだ。そのため、家でも、部屋でも、鍵がかからない紙や板一枚での間仕切りが基本であったようである。
そんな生活スタイルだったためか、日本で長らく使われていた鍵はいたってシンプル。「落とし」と言われるもので、今も古い日本家屋で使われている。戸袋から引き出された最後の雨戸の内側下部についているカンヌキが自重で敷居の穴に落ちて、戸が自動的に固定されるというものである。
しかし、これについても、家族全員が家にいる夜中だけ、念のために行なう施錠だった。昼間は、外出する時でも鍵をかけず、近所の目が鍵の役割を果たしていたようである。
それが、明治以降わずか百数十年。鍵は増加、高度化の一途。確かに便利な世の中にはなったが、ちょっと近所に行くにもがっちり施錠しなければいけないというのは、悲しいことである。
(2006年6月12日掲載)
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