





第99回 『保険』
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■ 心配あるところに保険有り
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病気や交通事故、自然災害など様々な危険に囲まれて生活している我々にとって、安心を提供してくれるものに保険があります。将来の「もしも」の時に、少なくともお金の部分の心配を軽くし、自身や家族の財産を守ってくれるこの保険。現在日本では全世帯の90%以上が生命保険に加入していると言われ、今では当たり前のように扱われていますが、皆さんはこの実に人間心理を上手くとらえた仕組みのルーツについてはご存知だろうか?
今回は、そんな保険について調べてみた。
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■ 保険の始まり
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保険の歴史は非常に古く、最初に保険制度らしきものが登場したのは、なんと古代オリエント時代、今からざっと5000年前のことである。
当時すでに盛んに行われていた交易の際、自然の猛威や盗賊等の被害に備えて損害を補填するための資金借り入れというものが行われていた。つまり今で言う保険金貸付制度である。しかし当時の保険は無事だった場合は倍返し、なんて無謀なものだったらしく、あまり広がりを見せなかったという。
その後、紀元前300年頃には地中海商人の間で「冒険貸借」という制度がはじまる。これは交易の際、船や積み荷を担保に金融業者から借金し、無事に帰港できれば利息を付けて返済する。もし事故で船や積み荷が失われた時には返済しないというものであった。現在の海上保険(の先払い式)が2000年以上前には存在していたことになる。
その後17世紀には現在も世界有数の保険組織として有名なロイズ保険が誕生した。
ロイズの歴史は、イギリスはロンドンのタワー街にあったエドワード・ロイドが経営するごく普通のコーヒー店で始まった。ここは海運業者や船長たちのたまり場となり、航海において常に災害の危険にさらされる人たちが集まる場所となっていった。彼らは、「もしも」の危険から守ってくれる保険制度を必要としており、次第にロイドのコーヒー店において、そこに出入りする人々の間で、保険をかける人、補償する人による制度が確立されていった。
ロイズ保険のユニークな特徴は、保険を個人が引き受ける点にあり、ロイドで保険制度がはじまった当初から、アンダーライターという名の個人が保険を引き受ける形で運営されていた(つまりアンダーライターは有数のお金持ち。イギリスでは今も最高のステータスといわれている)。また、ロイズでは「ビートルズの声帯保険」「ネス湖の怪獣保険」といった他ではあまり目にしない保険もあったようである。
日本で最初に近代保険制度が紹介されたのは1867年のこと。まさに大政奉還により時代が江戸から明治に移った年のことであった。紹介したのは、福沢諭吉(慶応大学の創始者)である。彼は万延元年(1860年)、咸臨丸で幕府使節の随行員として渡米、さらに翌年から1年間ヨーロッパを歴訪していることから、当時の日本人の中で随一の外国通であった。その福沢諭吉が、「西洋事情」に続いて発表した「西洋旅案内」の中で、保険制度が初めて日本に紹介されたのである。
その後1881年に明治生命が日本初の科学的データに基づいた生命保険会社として設立される。
この「科学的データに基づく」とは、きちんとした統計データに基づいて将来の危険率を算出し、保険金を割り出す方法をとることであり、現在もこの危険率と保険料の計算がすべての保険の根幹となっている。
(2006年3月13日掲載)
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