





第95回 『醤油』
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■ 食卓の必需品
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突然ですが、みなさん想像してみてください。「もしも醤油がなかったら・・・」
寿司、ラーメン、蒲鉾、照り焼き、海苔、生卵、豆腐、魚の開きなどなど、醤油を使う食べ物の多いこと(もちろん個人の嗜好によって変わると思いますが)。寿司屋なんて醤油がなくなったら困り果ててしまうに違いない。
ひところ「マヨラー」なんて言葉をよく聞いたが、考えてみれば日本人は醤油なくして生きられない「ショーラー」ではないだろうか。
これほどまで日本人の味覚と心を捉えてしまった醤油。もはや日本人の血肉といってよいほどの存在だが、実は醤油との出会いは割と新しい。今回は、そんな醤油について調べてみた。
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■ 中国生まれ
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醤油は、古代中国から伝わった「醤(ひしお)」がルーツであるといわれている。醤は様々な原料を塩漬けにして保存したもので、果実や野菜、海草などを材料にした「草醤」、魚や肉を使った「魚醤(タイのナンプラーなどが有名)」や「肉醤」、穀物を原料とする「穀醤」などがある。この醤の1ジャンルである穀物を原料とする穀醤が醤油の原型とされている。
日本において醤油が登場したのは鎌倉時代、今から800年程前といわれている。信州の禅僧、覚心(かくしん)が中国から金山寺味噌を和歌山県の由良にある臨済宗鷲峰山興国寺に持ち帰って製法を広めていたところ、桶にたまった液のうまさを発見したのが始まりといわれている。
その後、室町時代には名前も今の醤油と呼ばれるようになり、全国で製造が始まった。
しかし、あくまで醤油は上流社会でのみの嗜好品とされていた。これは原料が手に入りにくく、作るのにも手間がかかるということに加え、もう一つ、醤油の原料となる黒大豆の表皮から出る紫色の色素が、高貴な色「紫」に通じるところから「むらさき」と呼ばれ、貴族の間でしか楽しんではいけないもの、という扱いを受けていたことも大きかったようだ。
醤油が一般市民の口に入るようになったのは、江戸時代になってから。天ぷら、蕎麦、蒲焼など、落語でもよく登場する江戸っ子の代名詞といわれる多くの食べものも、この醤油の出現によって、はじめて人気メニューとして人々に愛されるようになったらしい。
これだけ深い仲と思っていた日本人と醤油の本格的なお付き合いは、わずか数百年のことだったのだ。
(2006年1月23日掲載)
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