





第91回 『電子レンジ』
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■ 非婚化の一因?
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最近、結婚しない男女が増えているそうだ。「家庭を持ってこそ一人前」などという既成概念は、もはや過去のものになってしまったのかもしれない。
しかしそれは、社会の変化のせいばかりではなく、もしかしたら電子レンジの存在が大きく影響しているのでは、と思えてならない。今、45歳くらいから上で、独り暮らしの経験のある方には身に覚えがあると思うのだが、独り身の生活でごはんが冷たいというのは実にわびしい。ごく自然に「温かいごはん→暖かい家庭=結婚」への憧れが湧き上がったものだ。こんな気持ちは、たとえコンビニで買ってきた弁当でも家でチンしておいしく食べられる今の若い人たちには理解できないに違いない。今回は、そんな電子レンジについて調べてみた。
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■ 電子レンジの誕生
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電子レンジが発明されたのは第二次世界大戦も末期の1945年、舞台はレーダーの開発現場であった。そう、電子レンジの発明も戦争がきっかけだったのだ。発明したのはアメリカの軍需会社レーセオン社に勤務し、レーダーの開発に携わっていたスペンサー氏。彼はある日、マグネトロン(マイクロ波発生装置)の近くに立っていたとき、ポケットに入っていたチョコレートキャンディが溶けているのに気づき、これはマイクロ波の影響ではないかと思いついた。この発想を証明するために、マイクロ波の前にポップコーンの元や生卵を置いてみたところ、見事にポップコーンができあがり、生卵は大爆発。この実験で、マイクロ波が物体の中にある水分に反応し、熱を発生させる仕組みが発見され、調理器具向けに研究開発が進められた結果、電子レンジが誕生したのである。
日本においては1962年、業務用電子レンジが量産品として初めて販売されたが、その価格は当時で52万円。大卒初任給が1万7千円くらいの時代だから、今の貨幣価値にしてなんと約500万円である。その後1966年には世界で初めて「ターンテーブル方式」を採用した(日本人が発明!)家庭用電子レンジ(19万8千円)が登場。さらに1969年、10万円を切る電子レンジが発売されると、働く女性の増加とともに電子レンジの普及率は確実に伸びていき、1987年には50%を突破、現在ではほぼ100%に至っている。
さて、最後にスペンサー氏についてもう少しお話しておこう。彼は博士でもなければ特に専門教育を受けたわけでもない、一介の会社員であった。本来の仕事であるレーダー技術の分野でもその発展に大きな役割を果たし、第二次世界大戦において連合国側勝利に貢献した英雄と賞賛されながら、彼の肩書きに「ドクター」という文字は付けられていない。しかしその飽くなき好奇心、科学的なセンスは群を抜いており、多くの科学者たちが長年解決できなかったマグネトロンの課題を、はじめて耳にしたその週末に、まるで宿題をやるようにあっさり解決してしまったという逸話が残っている。まさに天才。電子レンジはそんな天才のひらめきによる産物だったのである。
(2005年11月28日掲載)
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