





第84回 『マスク』
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■ 風邪を引いた時には
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風邪を引いた人がマスクを使用することは、日本では珍しいことではないが、海外、特に欧米においてはなじみの薄い存在であるらしい。
聞いた話によると、ある海外在住の日本人が風邪を引き病院に行ったときのこと。その日本人は、他の人に風邪を移してはいけないと思い、マスクをして診察の順番が来るのを待っていた。すると病院の関係者が飛んできて、こうお願いされたという。
「頼むからマスクをするのはやめてくれ。重い伝染病患者がいると思って皆が怯えてしまうから。」
いったいなぜここまで、ものの捉え方に違いが生まれるのか不思議である。
今回は、そんなマスクについて調べてみた。
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■ 日本生まれ
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マスクは日本において生まれ育ったものである。
大正時代。工場で作業する人達の「粉塵防止」を目的として自然発生的に誕生したといわれている。ただ当時のものは今とは大きく異なり、金網に布地を取り付けたとても「ゴツい」ものだったようで、工場以外ではまったく使われていなかったという。
こんなごく一部の人たちのためのものであったマスクが一般に使われだしたのは、19世紀初め頃に世界的に大流行したインフルエンザがきっかけだった。
その後マスクはビロード製(凄い!)、皮革製などに素材を変えながらユーザ層を広げていき、1930年代に入り、ガーゼマスクが誕生してからは、一般家庭にまで普及していった。
そして近年では、花粉症対策のためのハイテク立体マスクが登場し、症状に苦しむ人々の救世主として大活躍しているのはご存知のとおり。
しかし、インフルエンザの大流行は世界的なものであったはずなのに、日本だけにマスク着用の習慣が定着したのはなぜなのだろうか。
これは「他人に迷惑をかけない」ことを美徳とする日本人の感覚も大きく影響したのではないだろうか。
日本人だってはじめは、マスクをつけることに多少の抵抗があったに違いない。しかし、それを超える「人に移してはいけない」という強い正義感からマスクをつけはじめ、次第にその抵抗感を克服していったのだろう。
マスクは、日本人の「他人を思いやる気持ちの象徴」であったのだ。
(2005年8月29日掲載)
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