



第83回 『交番』
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■ 日本生まれ
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子供の頃、公園や道端で小銭を拾うたびに小走りで交番に届けていたものである。いつも交番にいる警察官のおじさんは、きっと忙しかったはずなのに、「えらいねぇ、よく届けてくれたね。どこで拾ったの?」などと、たとえそれが10円玉であろうとやさしく丁寧に応対してくれた。それは子供の正義感を大いに満たし、まるで自分が秘密少年警察官にでもなったような気にさせてくれたものである。
考えてみれば交番というのは、地域社会に関連した困りごとを一手に引き受けてくれる場所である。もし突然、事件に巻き込まれたとしても、近所の決まった場所に警察官が常にいるという安心感は大きい。また、そこに交番があるというだけで犯罪者などへの無言の抑止力ともなっているであろう。交番は本当に心強く頼もしい存在である。
しかし驚くべきことであるが、少し前まで交番は世界中で日本にしかないものだった。最近ではその効果が注目され、フィリピンやブラジルで交番システムが導入されているというが、それまで100年以上の間、日本以外で導入している国はなかったのだ。
日本では、交番がないという生活はちょっと想像がつかない。そんな交番について調べてみた。
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■ 交番のはじまりは?
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世の中に交番らしき制度が登場したのは明治初期のこと。明治7年に警視庁が創設されたとき、初代総監となった川路 利良(かわじとしよし)という人物が作り上げたものである。(司馬遼太郎の本が好きな方ならきっと、西郷隆盛や大久保利通などの名前とともに登場するこの人物の名前をご存知だろう)
しかし、当初の交番は現在とは随分ちがったものだったらしい。なにせ建物がなかった。警察官は決まった場所、たとえば街角や交差点などに出向いて業務を行い、時間がくると交代するといったシステムだった。交番という名前は交替で番をするその姿からつけられたようだ。
交番の建物が全国にできたのは明治21年のこと。平成16年度では、交番6,509ヶ所、駐在所7,592ヶ所が設置されており、その数は全国の市町村数の約5倍である。
ところで、この「交番」という呼び名が、正式名称となったのはつい10年ほど前だったというのをご存知だろうか。実は交番という呼び名は、それまで単なる愛称であり、正式名称は派出所と駐在所(こちらは警察官が住み込みで働いているところ)だった。
しかし「交番」という名称が国民に広く浸透しており、「KOBAN」が世界共通用語にもなったことで、平成6年に正式名称として扱われることになった。
また、交番や駐在所で勤務する警察官のことを地域警察官と呼ぶのだそうだが、現在起こっている犯罪の実に8割が、この地域警察官の手によって検挙されているという。
落し物の処理や道案内、地域の見回りに事故処理など雑多な業務に追われながらのこの働き。まさに超人的である。
最近犯罪の増加が嘆かれているが、それでもまだ日本が安全性に関して世界のトップレベルでいられるのは交番のおかげかもしれない。交番よ、ありがとう!と感謝するばかりである。
(2005年8月22日掲載)
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