





第82回 『セメント』
|

■ セメントの発明
|
ビルのほとんどがコンクリートでできていることは、皆さんもご存知のことと思う。コンクリートはセメントに水や砂利を加えたものであるが、もし、このセメントが世の中に存在していなかったら、現在の都市の景観は一体どのようになっていたのだろうか。
想像してみると、あらためてセメントの偉大さに気付かされる。今回はそんなセメントについて調べてみた。
セメントらしきものは、古代エジプト、ギリシャ時代に発明されたようである。ヴェスヴィオス火山の豊富な火山灰に石灰を混ぜ、作っていたらしい。
しかし、それ以降、ヨーロッパの建造物にセメントが活用されたという記録はほとんどない。石や粘土などで充分だったということなのだろうか。
その後本格的にセメントが使われだしたのは、驚くほど最近のことである。
現在広く使われている「ポルトランド」というセメントは1824年に英国人のレンガ職人アスプジンによって製法が編み出された。これは石灰石を粉砕して焼いたものを粘土に混ぜ、水を加えて炉で焼き粉砕したものであった。
ちなみに、セメントの語源はラテン語で、「caedere」(切る)と「mentum」(石片)が合体してできた「cement」(固める・接合する)という動詞が製品名にも使われるようになったものである。また、コンクリートは「con」(共に)と「crescere」(成長する)が合体してできた「concretus」(くっついて固まる)が製品名として使われたものらしい。
|

■ コンクリートとモルタルの違いは?
|
ところで、セメントと並んでよく耳にするものに「モルタル」がある。
「築25年、木造モルタル2階建て」といった住宅情報を見て、「昔の建物によく使われていた安い壁材かな」となんとなく理解していたが、実はこのモルタル、コンクリートの兄弟みたいな存在であることをご存知だろうか。
コンクリートはセメント+水+「砂利」でできていると説明したが、モルタルはセメント+水+「砂」でできている。砂利と砂、これが(厳密には他にもあるが)コンクリートとモルタルの違いである。
しかしすでにあったコンクリートに加え、なぜわざわざモルタルを作る必要があったのだろうか。これは手軽かつ安価に、壁面をコンクリート風に仕上げる工夫のためである。風雨を遮断するのに表面だけを薄く塗り固めるには、砂利では都合が悪く、きめ細かい砂を混ぜる必要があったのだ。しかしモルタルは、コンクリートに比べて強度が低いため、数十年という年月が経つと、ひび割れ・はがれなどが起きやすい。これが私たちの持っている「モルタル」=「ちょっと傷んだ壁&安い家賃」に繋がっているようである。
(2005年8月8日掲載)
|

|







|