動画投稿・共有サイト「YouTube」を運営するGoogleは3月27日、多数の国内有力アーティストの音楽著作権を管理する株式会社ジャパン・ライツ・クリアランス(JRC)と、JRCが管理する楽曲のYouTubeでの利用について包括利用許諾契約を結んだと発表しました。これにより、「YouTube日本語版」のユーザはJRC管理の楽曲を演奏したり、楽曲に合わせて歌ったりしている動画を公開できるようになります。
JRCは、音楽プロダクションやアーティストマネージメントオフィス、プロダクション系音楽出版社などが中心となって2000年12月に設立された音楽著作権管理事業者です。音楽著作権管理事業者といえば、約98%のシェアを持つ、社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)が有名ですが、JRCはインディーズ系アーティストの楽曲に強いと言われています。
また、4月1日には、動画投稿・共有サイト「ニコニコ動画」を運営する株式会社ニワンゴが、JASRACと許諾に関わる契約を締結したと発表しました。これにより、サイト上で再生される動画に対しリアルタイムでコメントを付けられる「ニコニコ動画(SP1)」で、ユーザはJASRAC管理の楽曲を使った動画を公開できるようになります。
これらは、いったい何を意味しているのでしょうか。それは、動画投稿・共有サイトによる口コミ(バイラル)プロモーションが非常に大きく効果的なメディアになりつつあるということです。実際、無名の日本人アーティストのコンテンツを日本から投稿したら、米国で人気が出てブレイクしたという事例もあります。某レコード会社のスタッフに話を聞いたところ、最近はお金をかけてPV(プロモーション・ビデオ)を製作しても、一部の音楽番組かCSの音楽チャンネルぐらいしか使うところがなく、PVをCDパッケージに全曲分入れ、通常価格より少し高めで販売する手段を模索している、とのことでした。また、昨年ぐらいから、CDのパッケージ販売に比べて、インターネット経由(ダウンロード)のノンパッケージ販売の売り上げが劇的に伸びているようです。
つまり、今回の動きは、インターネットを使って楽曲やPVをより多くの人に宣伝したい音楽業界の市場拡大に向けた新たな試みと言えます。すでに、様々な企業が動画投稿・共有サイトをバイラル・マーケティングのプラットフォームとして利用していますが、遂に音楽業界も動き出したということです。利用料についても、広告収入などから支払われるため、今後は他の音楽著作権管理事業者や関連企業などにも同様の動きがあると思われます。さらに、投稿するユーザ側も違法性を気にせずに、正規の音楽を使って様々な作品を表現できるため、サイト全体の更なる活性化に繋がる可能性があります。
ちなみに、GoogleはJASRACとも交渉中とのことで、著作権問題が解決すれば、動画投稿・共有サイトの更なる発展が見込め、ユーザの利便性も向上することでしょう。今後の動きに大いに期待しましょう。
(2008年4月7日掲載)