





第200回 「コンテンツ配信は次なるステージへ」
|
株式会社インプレスR&Dが発行する「インターネット白書2006」((財)インターネット協会監修)によると、家庭からのブロードバンド利用者数は前年比16.5%増の3,756.8万人と着実に増えています。世帯におけるブロードバンド普及率も2005年2月時点の36.2%から41.4%に増加しており、インターネットの世帯普及率が57.3%であることを考えると、家庭からのインターネット利用でもブロードバンドが浸透していることがわかります。特にFTTH(光ファイバーによる家庭向けのデータ通信サービス)の普及が加速しており、今後もより高品質なサービスが求められることがうかがえます。
実際、最近のコンテンツ配信事情を見ると、このようにより高品質な動画を求めるユーザの増加にともない、ストリーミング配信に必要なビットレート(画質や音質を決定付ける要素)、ストリーミング数とも大きくなる傾向となっています。例えば、動画コンテンツ配信サイトとして世間に広く認知されている「Yahoo!動画」では、ビットレートは300kbpsから1.5 Mbpsですが、他の動画配信サイトの中には、3 Mbpsや10 Mbpsで配信しているサイトも出てきています。「Yahoo!動画」で配信されているある番組の関係者から、その番組のストリーミング数を聞き、配信流量を計算したところ、1ヶ月あたり14TB(テラバイト)にもなる計算です。このような状況において、ストリーミング配信方式では、配信設備の増強が常に必要になると考えられます。
そんな中、俄かに脚光を浴びてきたのがグリッド配信です。グリッド配信は、P2P(ピアツーピア:サーバを介さずにPC同士が直接通信できる技術)を用いた配信方法で、提供者側の配信サーバに各々の利用者(PC)がアクセスする従来の配信方法とは異なり、一度コンテンツをダウンロードしたPCがノード(ネットワーク上の中継点)となり、リクエストに応じてPC同士がデータを受け渡します。つまり、人気のあるコンテンツは利用者にどんどんダウンロードされ、そのダウンロードしたPCから他のPCへと配信されていく、という仕組みです。この仕組みによって、提供者側はゲームや音楽、映画といった大容量コンテンツを低コストで且つ安定的に配信することが可能になります。
しかし、グリッド配信にも解決すべき課題がありました。それは違法コピーへの対応です。
従来の配信方法では、コンテンツ自体は提供側にある(利用者のディスクに保存できない)ため、ストリーミング配信では違法にコピーすることはできません。また、ダウンロード型の配信でも再生する際にIDやDRM(Digital Rights Management:デジタル著作権管理)を用いて個人認証が可能です。
しかし、グリッド配信では、一度個人のPCにダウンロードされたデータを更に他のPCへと配信するので、個人認証は難しいとされていました。
ところが、この違法コピーの問題も、コンテンツの暗号化、管理サーバを設けて流通経路や流通コンテンツの監視を行う仕組み等により解決され、いよいよ大規模なグリッド配信によるコンテンツ配信サービスが動き出そうとしています。大手の動画コンテンツ配信サイトが今春から実証実験を開始し、秋にはサービス開始という話もあるようです。
以前にも今年は、高精細度テレビ「HDTV」や次世代DVD規格の「Blu-ray Disc」「HD DVD」の普及・浸透によって「フルHD時代の幕開け」になるとお話しましたが、インターネットによる映像・音声配信の分野でも、今後更に迫りくるコンテンツの大容量化に対応しつつ、通信インフラには負荷を掛けない、そんな新たなサービス形態が近い将来登場することでしょう。そう、コンテンツ配信も次なるステージへ突入しているのです。
(2007年4月16日掲載)
|

|










|