− いまEMIEW 2のデモンストレーションを見せていただきましたが、人の問いかけに応えたり、先導しながら目的地へ案内したり、なかなか立派に仕事をこなしていますね。
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中村: 子どものような外観ですが、立派なオフィスワーカーをめざしています。2005年の「愛・地球博(日本国際博覧会)」でお披露目した初代EMIEWと比べると、かなり雰囲気が変わっていることにお気づきだと思います。
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− 表情のかわいさはそのままですが、非常に小さくなりました。

中村: 初代のEMIEWが身長1.3m、重量70kgだったのに対し、EMIEW 2は身長80cmで重量13kgです。EMIEW 2は、人と密接した場で人をサポートする「人間共生ロボット」をコンセプトに開発されており、人に威圧感を与えない大きさが重要なポイントになりました。80cmというのはオフィスの中で自然にその存在を認知させ、なおかつ机の上にあるものを頭上のカメラで見渡せる高さなんです。また13kgというのは、万一人に倒れかかったときでも安全で、女性が無理なく持ち運べるウエイトです。だからEMIEW 2の背中には、ちょっとした距離を持って運べるようにリング状の取っ手も付いています。
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初代EMIEWとEMIEW 2
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網野: 人と協調したサービスを行うためには、人にストレスを与えない移動能力と、停止時の安定した動作が必要です。そこで移動時は、中村が初代EMIEWで開発した2輪による時速6kmの高速移動を継承し、停止時や作業時には安定的な4輪姿勢に変形できる「脚車輪型移動機構」を新たに開発しました。
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− 足の部分のギミックが非常に面白いですね。
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網野: 初代EMIEWは車輪移動のみに頼っていたので、段差を越えることができなかったり、電源を切ると自立できないといった弱点がありました。そこでEMIEW 2では車輪の横に“つま先”の働きをする可動式のレバーを装着し、つま先を接地させると3cmまでの段差を乗り越えて2足歩行できるようにしました。また、正座のようにヒザを曲げヒザの白い球体を前輪とする4輪状態では、座ったままの安定した姿勢で物を運んだりすることもできます。
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中村: 人と共存するには、人が行けるところへは全部行きたい。確かに2足歩行なら人の行ける所にはすべて行けますが、機構的には2足歩行より車輪の方が効率がいい。そこで目的に合った複数の移動形態をコンパクトにまとめた結果、このユニークな足回りが誕生したわけです。また小型・軽量化を重視したため、素早いレスポンスが要求される障害物回避などは内部のCPUで処理し、それほどリアルタイム性が要求されない音声認識や、自律移動のための地図生成、位置認識などは外部PCで遠隔処理する「リモートブレイン」という方式を採用しました。
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− EMIEW 2は、皆さん3人が中心となって開発されたと聞いています。それぞれの役割分担を教えてください。
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中村: 3人の中では僕だけが初代EMIEWから関わっています。当時はまだ入社したてでしたが、EMIEWの足回りを担当させていただきました。今回はプロジェクト全体のマネジメント、コンセプトデザイン、システム設計、走行制御を担当しました。
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一野瀬: 私は行動制御を担当しました。EMIEW 2は人と接する際、しゃべりながら身振り手振りでコミュニケーションを行いますが、各機構をタイミングよく動作させることが行動制御のポイントです。
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中村: 一野瀬は基礎研究所にいた頃に、インターネット経由で親の肩をもんでやる「遠隔肩もみコミュニケーションシステム」を開発し、テレビでも紹介されたことがあるんですよ。自分がマネキンの肩をもむと、遠隔地にあるマッサージチェアの“もみ玉”がそのまま動き、離れていても親孝行できるという…。
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− なるほど、そういったきめ細かな制御プログラムを書く技術が、EMIEW 2の人間らしい、なめらかな動きに活かされているというわけですね。
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一野瀬: そう言っていただくとうれしいです。
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網野: 私は初代のEMIEWが発表された1か月後の2005年4月に入社しました。ですからEMIEW 2の開発を任されたときはまったく白紙の状態で、かなり自由にアイデアを出させてもらいました。具体的には中村と一緒にコンセプトデザインを考え、私が機構設計とハードウェア全体のまとめ役となりました。日立グループ内のいろいろな部署の皆さんの協力によって、ここまでこぎ着けたという感じです。
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中村: 彼は学生時代、趣味で2足歩行ロボットの格闘競技大会「ROBO-ONE」に出ていて、九州大学のチームで2度も優勝した有名人でもあるんです。
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− すごいですね。趣味がそのまま仕事になったと?
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網野: はい。学生のときの専門は金属材料疲労でして、ロボットはあくまでも趣味でやっていましたが、当時から性能と軽さを追求したロボットをつくっていたので、そのエッセンスはEMIEW 2にもかなり入っていると思います。
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− EMIEW 2はこれから、どのような用途に使われていくのでしょう。
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一野瀬: オフィスを訪問されたお客さまの案内や、巡回監視などのサービス実現に向けた技術開発を進めて行く予定です。またEMIEW 2は本来、日立社内のさまざまなロボット技術を試す研究開発用のプラットフォームとして開発されたものなので、他のロボットやアプリケーションに幅広く展開していくための技術やノウハウを培う場として活躍することになるでしょう。
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− 最後に、皆さんがこれからのロボットづくりで挑戦してみたいことを聞かせていただけますか。
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中村: 単体だけでなく、たくさんのロボットが協調して1つのタスクを行うような、集団として動くロボットをつくってみたいですね。またロボット技術を身近な道具に活かして使うインテリジェント化の方向にも興味があります。
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網野: 今回のEMIEW 2では「変形」という切り口で、2輪と4輪、つま先が出る足回りの仕掛けをつくってみましたが、次回もまた人を驚かせるような新しいメカニズムに挑戦してみたいと思っています。
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一野瀬: 私はロボットと人とのインタラクション(相互作用)という部分で、今以上に親しみやすく、自然な行動をとれるソフトウェア開発に力を入れていきたいです。
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中村: つまり雰囲気を察することができるロボットをつくりたいということなんです。例えば、呼びかけられたら体全体をすぐ向けるのは無理だとしても、頭だけはサッと動かすとか。イライラして独り言を言っているとき、それに反応して「お呼びでしょうか?」と来られても困るので、それを判断するとか。
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一野瀬: メカニズム的に制限があっても、それをなんとかソフトウェア的にカバーして、人の置かれた状況や雰囲気を察し、最適な行動をとれる存在にしていきたいんです。ロボットが、より人から愛され、受け入れられるように。
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− なるほど、よくわかります。皆さんがつくる未来のEMIEWが楽しみですね。今日はどうもありがとうございました。
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EMIEW2を囲んで「ハイチーズ」
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