「ようやく認知されてきましたが、ESCO事業を始めた1999年当初は、名前すら知られていなかったし、省エネ設備を日立で保有するため顧客に初期投資の負担がなく、経営リスクを回避できますと説明すると、そんなうまい話があるわけないだろうという反応がほとんどでした(笑)。自社の工場や施設に他社の資産が加わることに抵抗のある企業も多かったんですね。さらに、私どもでは、顧客の施設のエネルギー診断を行うために、1年くらいじっくり時間をかけて現場の実情を調査させてもらって計画を立てます。そうしたビジネスモデル自体がなく、なかなか顧客に理解してもらえませんでした」と、日立のESCO事業の生みの親でもある、都市開発システムグループ・都市開発ソリューション本部主管技師の坂内正明は言う。だが、省エネ技術の開発一筋できた坂内には、これほど日立らしく、地球環境に貢献できる事業はない、という強い思いがあった。
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「日本でESCO事業を手がけているのは、電力会社やガス会社などエネルギー関連の会社がほとんどで、メーカーでは日立の他には数社くらいしかありません。でも、メーカーだからこそエンジニアリングだけでなく、実際に機器を製造し、保守・管理・運用までできる。トータルソリューションを手がける日立ならではの事業に育つという確信があったのです」(坂内)
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だが坂内の思いとは裏腹に、社内のコンセンサスを得るのも困難だったという。
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「前例がないために資金調達が難しいだけでなく、このビジネスはお客様に最適なソリューションを提供するので、他社製品を納入することもあったからです。そうしたなかで、まずサッポロビール(株)が興味を示してくれた。国の補助金とプロジェクトファイナンスという手法で資金調達にこぎ着け、2001年からサッポロビールの2工場で、わが国初のESCO事業がスタートすることになりました」(坂内)
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続いて導入を決めたのは、当時、設備刷新の時期にあったコマツ。1工場から始まったESCO事業は期待以上の成果を上げ、現在では8事業所で展開されている。
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「8事業所それぞれエネルギーの利用形態が違うため、一つとして同じシステムの導入はありません。生産工場の冷凍機もあれば蓄電池もあり、コージェネレーション設備もある。ある工場では、広い工場内で作業している人の周辺だけスポット的に空調するシステムを導入しました。これらで10%のエネルギー削減につながり、現場の人からも大変喜ばれました」と、コマツの営業を担当した産業ソリューション営業本部産業第一部部長の鈴木淳は言う。
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最近では、風車やバイオマスなど自然エネルギーを組み合わせたESCO事業も手がける。2008年からいよいよ京都議定書の第一約束期間が始まり、温室効果ガスの排出を1990年比6%削減しなければならないという喫緊の課題を背景に、ESCO事業への期待はますます高まっている。
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「事業の契約は10〜15年ですが、10年たって設備の投資回収が終わったらおしまいということではなくて、よりよいシステムを継続して提案していくことに意味がある。特に現在は原油高が続いていますので、化石燃料を使った省エネは極めて難しい。次世代ESCOとして、工場から出る排熱の活用や、電気と熱を組み合わせたベストミックス型のサービスを展開していきたいと思っています。知恵を絞ればまだまだ日立らしいアイデアが出てくるはずですから」(坂内)
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