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開発者に聞く



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このコーナーでは、日立製作所の研究所等で研究・開発を行っている技術テーマを中心としたコラムをお届けします。 研究員にインタビューを行い、技術テーマ解説・開発過程におけるエピソードなどを交えてわかり易くご案内いたします。
ろうの社員自ら企画・運営する手話案内サービス

きっかけは2004年秋に、ろう者であり、システムエンジニアとして手話アニメーションソフト『マイムハンド』の開発にも携わった田中英之がユビキタススクエア横浜に配属されたこと。手話案内チームの活動をサポートする大津弘之(ユビキタスプラットフォームグループCS推進センタ長兼マーケティング事業部 AV営業本部 AV営業部担当部長)は言う。
「最初は、バックヤードの仕事をと思ったのですが、手話という特技を生かして何かできないかと。健聴者が手話を覚えてというのではなく、ろう社員自身がこうした案内サービスに携わるのは、あまり例がないでしょう。
これは企業の社会貢献活動の一環でもありますが、実際やってみて一番うれしかったのは、社員満足度の向上でした。障害をもつ社員は、自分で満足できる仕事に就くのはなかなか難しい。ましてPRの最前線に立つ仕事ですから、彼らのモチベーションはいやがうえにも上がりましたね」
大津の役目は主に「耳」となってチームに情報提供を行うこと。具体的な企画は基本的にチームに任せている。その中心となって活動しているのがリーダーの田中とサブリーダーの信田光宣だ。
「案内サービスは月に1日、午前と午後の2回。1回2時間、定員は20人ですが、最近は定員を上回る申し込みがあるんです。この前はなんと40人も。人数が増えるとこちらも余裕がなくなって、サービスが行き届かなくなるのが心配なのですが、うれしい悩みです。ろうのお客さまは普段は筆記でしか質問できません。普段聞けないことをここぞとばかりぶつけてくる。そして仕組みがわかり始めると、さらにいろんな質問が出てくるんですね。それはいいことだなあと。それでいつも時間超過してしまうのですが」(田中)
障害をもつ人にとって、ITはハンディキャップを補う力となりうる。耳の不自由な人にとっては、テレビや携帯電話は情報源・コミュニケーションツールとして不可欠だ。そうした最新機器の仕組みや機能、使い方をスタッフ全員で勉強し、伝え方を工夫する。ただし、専門用語には手話にないものが多いので、スタッフで新しい手話表現をどんどん考案していった。
実はこのショールーム以外にも、チームは各地の社内外の展示会に積極的に出かけていって手話案内を行っている。そこでは、ろう者だけでなく、一般の高齢者にも評判がいいという。
「手話は事物の形を表すものが多いので、一般のお客様にもある程度通じるんですね。たとえばテレビの字幕放送などは、年配の方にも便利ですから、使い方を詳しく紹介するんです。説明がていねいでわかりやすいと喜んでくださいます」(田中)
一方、利用者の視点から製品の使い勝手もチェックする。デフリンピックのバレーボール日本代表であり、アイデアマンだという信田が見せてくれたのは、テレビの字幕表示操作の比較表。「スタッフと量販店に通い詰め、8社25機種のテレビについて、字幕表示ボタンがリモコンにあるかどうか、表示まで何アクション必要か、字幕つき録画は可能かなどを調べたんです。これをもとに、日立の事業部にも要望を出しました。次はDVDレコーダーの比較調査をする予定です」(信田)
ある大手家電量販店で出張サービスを行った際、その副社長が活動に感激し、ぜひ定期的に販売応援に来てほしいと頼まれたことも。こうした販売の第一線にも立ち、できれば家庭まで据えつけにも行くようなサービスをと、チームの夢はふくらむ。
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