− どのような仕組みで異常行動を検知することができるのでしょうか。
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正嶋: まず正常行動の特徴をコンピュータに学習させ、データベース化します。そして、それと異なる行動の特徴をカメラがとらえ、一定値を超えた場合は「異常」と検知する―これが基本的な仕組みです。動きの特徴をとらえる部分には、独立行政法人産業技術総合研究所が開発した「立体高次局所自己相関特徴」という技術を適用しています。これは、カメラから取り込んだ画像の中の“動き成分”を抽出し、画像全体から切り出された3×3×3画素の立方体の中での変化点を251種類に分類するというもので、正常な点の分布とそうでない点との差が統計処理で明確に示されるのが大きな特長です(図1)。
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図1 異常行動検知技術の仕組み
※クリックして拡大図をご覧下さい
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中村: これまでも異常行動を検知する技術はありましたが、その多くは画像そのものを解析する方法でした。人の動きの大きさや速さ、モノの形や色といったパターンをあらかじめモデル化し、それにマッチングしたものを「異常」として検知するのです。しかしこうしたアプローチでは、検知できる内容が固定化されるため、例外がたくさん発生してしまいます。そのため適用範囲も狭くなり、汎用性もほとんど望めない弱点があったのです。
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三好: 従来の方法は、あらかじめ膨大な量と種類の異常行動画像を収集し、詳細なモデルを構築する必要があります。ですが最近はプライバシー侵害などの問題もあって、それに見合うデータ収集は実質的に不可能です。これに対し今回の技術は、比較的容易に収集できる正常行動を基準に、今現在の動きの特徴量が、そこからどれだけ離れているかを見ようとする。つまり、異常行動そのものはまったく定義しなくていいわけです。
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− モデル化する必要がないから、例外も発生しないということですね。
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三好: ええ。そのため、身振りの大きな“あばれ”などの行動だけでなく、ナイフを静かに突きつける威嚇行為、あるいは“ちかん行為”など、比較的動きの小さな行為も安定的に検知することができます。体操や屈伸などのように動きの大きな行動も、正常行動としてデータベース化すれば、誤って検知することはほとんどありません。
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− 開発に当たって、どんな点で苦労されましたか。
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正嶋: ベースとなった技術では、対象にまっすぐカメラを向けて撮ることが前提となっていました。しかしエレベーター内の監視カメラは斜めから俯瞰して見る形となっています。その視点の変化に対応した組み込みのノウハウと、より複雑な動作を分離するための実験の積み重ねが大きなポイントとなりました。
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三好: もともとこのアルゴリズムは軽い計算量ですむのが特長ですが、マイコンに実装して、期待どおりの性能を実現するまでのチューニングにも苦労しましたね。
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