「液晶なら電源を切れば表示が消えますが、電子ペーパーはいったん表示されると、電源が切れても長期間消えません。採用したのは白黒の粒子を電界によって上下させるトナー移動型のもので、画面の焼き付きもありません。1日に数回、画像を書き換えるだけなら、バッテリーも1年くらいもちます。特別な電源工事をしなくても、壁面やガラスなど、どこにでもペタっと貼りつけられるのが最大の特長です。ポスターのように、ときどき情報が変わる静止画の表示に最適ですね」と電子ペーパーの事業化を企画した鈴木薫主任技師は言う。
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現状はモノクロ、画像が書き換わる速度も10秒程度だが、電子ペーパーの用途は動画のディスプレイとは違う。ただ、電子ペーパーというと紙のように曲げられるイメージがあったのだが――。
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「技術的に曲げることは可能ですが、現状はガラス基盤で駆動しているので曲がりません。ヒアリングをしてみると、持ち歩くにしても曲げたいというニーズはそう多くない。メモリ性があって画像が消えない、という特性を生かすことが重要なのです」
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日立はこの電子ペーパーの商品コンセプトづくりと実装、情報配信システムの開発を手がけた。
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「各社とも開発は進んでいますが、サービスイメージを提案し、商用ベースに乗せたのは日立が世界初。2010年には100億円規模のビジネスにしていきたいですね」
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すでに、交通・電力分野の事業者では時刻表などの情報配信に、自治体では災害時の情報伝達用途に、流通・産業分野では地図やイベント情報表示など、またさまざまな企業が広告用に使いたいと手を挙げているという。
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「電源回路が小さく発熱しにくく、デバイスを完全に密閉できることから屋外や海の中でも使用できる可能性があります。太陽電池と組み合わせればメンテナンスフリーにもなる。たとえば、普段は時刻表として利用し、いざというときに、災害情報や避難経路を表示することもできるでしょう。ほかの通信手段が被害に遭っても、これなら無線で情報を受信できますからね」
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鈴木主任技師は、新規事業創成を目指す全社研修「ACE研修」の第一期生だ。2000年にエンタープライズサーバ事業部から研修に参加し、その後提案した電子ペーパーディスプレイの事業化コンセプトが認められ、事業化までこぎつけた。
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「自分が提案し事業全体を動かすのは大変やりがいがある。次は、カラー表示でより薄型の試作機を発表しますので楽しみにしていてください」
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