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このコーナーでは、日立製作所の研究所等で研究・開発を行っている技術テーマを中心としたコラムをお届けします。 研究員にインタビューを行い、技術テーマ解説・開発過程におけるエピソードなどを交えてわかり易くご案内いたします。
ダブルスキン構造とFSW技術で、これからのアルミ車両のスタンダードを提案した
「つくばエクスプレス」

− 秋葉原・つくば間58.3kmを最短45分で結ぶ「TX」の特徴は?
何といっても最高時速130km、在来線としては最も速いということと、高速運転を実現させる主回路電機品(制御装置、主電動機など)を搭載していることでしょうね。「TX」ではボタン操作で発車から各駅での停車まで自動運転を行い、正確な運行を制御しています。さらにバリアフリーに配慮した乗り心地や環境への配慮など、さまざまな視点から最先端の技術を結集して設計しています。

その中核にある技術が、リサイクル率の高いアルミニウム合金を使用した「ダブルスキン構体」です。新幹線はもとより在来線でも最近はアルミ車両が増えてきていますが、その利点は軽量であること。これによって高速化が図れ、走行エネルギーも低減できます。さらに「ダブルスキン構体」は、トラスの入った中空押し出しの2重構造でステンレス製に比べても十分な強度を確保しています。

これを「FSW(摩擦撹拌接合)」という新技術で溶接すると、継ぎ目の目立たない美しい外観が得られます。塗装する必要もないし、中空構造ですから断熱性や静音性なども確保できて、車両設計に伴う多くの問題が非常にクリアに解決できるんですね。

日立では今後もダブルスキン構体とFSWのセットでの提案を進めていきますが、これは従来のシングルスキン構体とMIG溶接に代わって、アルミ車両の主流になっていく技術だと思います。
− 「TX」ならではの苦労も?
ええ、実はつくばの近くに気象庁の柿岡地磁気観測所があり、35km圏内では交流電流の使用が義務づけられていて、対策が必要でした。ちょうど「守谷」がその境界となります。「TX」では「秋葉原・守谷」間を往復する直流専用車両と、守谷で交直流を切り替える「秋葉原・つくば」間専用車両の2種類で対応しています。また、土地の確保が難しい首都圏に乗り入れるために秋葉原・南千住間が地下路線となっていますが、地上と同じように、地下を高速で安全に運行することも課題の一つでした。

交直流車両の製造は日立が一括して受注し、さまざまなメーカーをとりまとめて開発してきましたから、常に私たちがそれぞれの技術を把握したうえで、責任をもって進めてきました。日立は電気部品から、運行システムの構築、物流も含めてトータルな技術力をもっていますから、横断的な取りまとめも得意だし、その過程でコストダウンも図っていける。もはや速さと安全は当然で、これからはより大きな視点から、快適性や環境への配慮、コストを考えていく必要があります。

現在私たちは東京メトロ13号線を手がけていますが、これもダブルスキン構体とFSWで設計しています。今度のデザインは、丸い外観と明るい車内になる予定です。
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