− そのお宝を見つけた。
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ええ。我々が注目したのが銅と錫の化合物です。銅の融点は1083℃で、錫の融点は232℃。これを粉にして混ぜ合わせてペーストにし、加熱すると錫は232℃で溶けますね。銅は溶けませんが、錫が溶けることで反応が始まって、銅錫化合物ができる。その融点が、高温はんだの融点に相当する415℃以上あるんです。つまり最初は低温で溶けて、反応すると高融点化する。

はんだは、ある温度で溶けて、またその温度で固まるものだという概念を、初めて打ち破った。

銅と錫が反応すれば銅錫化合物ができて、電気的接続が保たれるというのは、常識なんですよ。ただ、それだけでは硬いので、誰もはんだに使おうとは思わなかったという、実に単純な話なんです。

ですが、実際の開発は難しかった。溶けた錫の中に銅粉が混じっているというのは、はんだの中にたくさん石ころが混じっているようなもの。これはボイド(穴)の原因になるので、これをいかに減らすかに最も苦労しました
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− 歴史上でも画期的な発見なのですよね。
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そうですね。錫と鉛のはんだは西暦300年ごろにはすでに金属の接合に使われていたようで、電気的な接続材料としても100年近い実績があります。はんだは一般に銅と銅をくっつけるのですが、錫がその接着剤の役割を果たす。ただし錫は融点が高いので、鉛がそれを下げる役目をする。また、鉛の軟らかさがはんだの接続信頼性には不可欠なんです。確かにはんだとしてこれほど使い勝手のいいものはないんですね。
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− ところで、素材研究の魅力とは何でしょう。
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私自身は、無鉛はんだの前はセラミック材料・プロセスの開発に携わっていました。電機メーカーのなかでは、私のような化学・材料屋は少数派なのですが、最終的に材料を製造することはなくても、材料をよく理解したうえで仕様を決定したり、新規材料を開発したりすることは、とても重要な仕事であると考えています。もちろん電気・機械の設計も大事ですが、モノを最終的に構成するのは材料なんですね。銅粉や錫粉という、ありふれた材料であっても、それらのコントロール次第で、新しい機能を発現する場合があるわけですから。

ちなみに、無鉛はんだの研究を始めてから、実生活まで環境対応になってしまいました(笑)。移動には自家用車をなるべく使用せず、公共交通機関・自転車の利用に努めています。無鉛はんだは私の環境に対する意識も大きく変えてくれたんです。
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