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このコーナーでは、日立製作所の研究所等で研究・開発を行っている技術テーマを中心としたコラムをお届けします。 研究員にインタビューを行い、技術テーマ解説・開発過程におけるエピソードなどを交えてわかり易くご案内いたします。
「美しさ」という感性を表現する画質技術
■ モニターは「素」、テレビは「表現」


「モニターとテレビの違いは、『素』と『表現』。モニターは映像入力信号を忠実に再現することが使命ですが、テレビは見る人にとっての『美しさ』が大切です。きれいな白、抜けるような青空、鮮やかな真紅、みずみずしい緑、しっとりとした肌などをいかに表現するか、すべて感性の領域ですから難しいし、だからこそ面白いと思っています」

青木浩司は、テレビの画質技術の本質をそう語る。

カラーテレビが普及した時代に、青木は生まれた。大学では電気工学を専攻し、高電圧機器や電子回路を研究してきた。そして、仕事として選んだのは身近な「テレビ」だった。
「当時、ハイビジョン放送がスタートしたところで、テレビ技術の可能性がこれから広がると思って志望しました。実際に、テレビ工場を見学してみて、消費者のさまざまなニーズに応えるきめ細かな技術開発に感動したことが大きいですね」

入社後は、岐阜の量産工場で生産技術を経験し、設計に移ってからはワイドテレビの信号回路や番組予約の「Gコード」テレビの回路設計を担当した。

「ブラウン管は、厳密にいえば一個一個に個性があります。信号処理もアナログですから繊細な調整が必要で、チューニングはまさに職人技です。ここで鍛えられたことが、その後、画質を担当するときに大いに役立ちました」と青木は語る。


■ 市場をリードする日立のプラズマテレビ


やがて、テレビはデジタル革命を迎える。放送はBSハイビジョンデジタルから地上デジタルへと広がり、それと軌を一にするようにブラウン管に替わる液晶やプラズマなどのフラットパネルが登場する。

青木は、2000年から日立がテレビ事業の将来をかけたプラズマテレビ開発の画質技術を担当することになった。

「デジタル技術としては、1994年頃に新分野開発の一環としてデジタルチューナーに携わった経験があります。プラズマテレビは、信号の入口からパネルの画素一つひとつの制御まですべてデジタルで処理しますから、設計の結果がダイレクトに出るのが気持ちがいいですね。しかし、百年の歴史があるブラウン管は完成している技術です。当初はブラウン管に負けない高画質を実現するのに苦労しました」と青木は当時をふりかえる。

幸い、日立は、富士通(株)との共同出資会社のもとでプラズマディスプレイの独自開発を進め、高精細・高輝度の「ALIS(アリス)パネル」の開発に成功した。これにプログレッシブ処理に代表される日立のテレビ技術が一体となり、2002年以来、日立はプラズマテレビで常にトップレベルのシェアを獲得してきた。

「大型電気店の一番目立つ場所に日立のプラズマテレビが展示されているのを見ると素直にうれしいと思います。液晶パネルもそうですが、高画質処理用ICも含めて、キーデバイスをすべて自社グループで開発している点が、日立の大きなアドバンテージとなっています」と青木は語る。
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