





このコーナーでは、日立製作所の研究所等で研究・開発を行っている技術テーマを中心としたコラムをお届けします。
研究員にインタビューを行い、技術テーマ解説・開発過程におけるエピソードなどを交えてわかり易くご案内いたします。
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世界のパソコンの3台に2台がお世話になっている世界一の「縁の下の力持ち」がある
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■ 液晶ディスプレイに欠かせない異方導電フィルム「アニソルム」
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◆垂直方向のみ通電し、平面方向には通電しない異方導電性
異方導電フィルム「アニソルム」は、液晶駆動用のICを実装した回路と液晶パネルの回路などを接続する材料です。
その基本的な構成は、熱硬化性をもつ絶縁性接着剤に微小な導電性粒子を分散させてフィルム状にしたもの。図のように基板にはさんで加熱・加圧すると、上下の回路間は導電性粒子が圧縮されて通電するようになりますが、隣接する回路間は絶縁が保たれます。つまり、垂直方向のみ通電し、平面方向には通電しないという「異方性」が実現することになります。
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従来は、ゼブラゴムと呼ぶ絶縁ゴムと導電ゴムを縞状にした材料や、はんだによる接続が行われてきましたが、液晶パネルの高精細化に伴って回路間が100ミクロン以下のファインピッチ化が求められると、従来の方法では困難になっていました。また、熱に影響されやすい液晶パネルの近くで、はんだを使用する点でも問題がありました。
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アニソルム
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◆最新製品は40ミクロンピッチ、PDPや有機ELにも対応
日立化成では、1984年に金属粒子を使った異方導電フィルムを世界で初めて製品化しました。以来、樹脂の設計・合成技術、フィルムの構造設計技術、信頼性評価技術を結集して、液晶パネルの進化に応えて最適な材料を開発し、現在では、異方導電フィルム「アニソルム」は、世界で生産される液晶パネルの60%以上に採用されるまでになっています。
最新製品では、回路間のピッチが40ミクロン以下を実現しています。また、はんだの溶ける温度が240℃以上なのに対して、「アニソルム」は140℃・10秒で固まる低温タイプ、170℃・5秒で固まる速乾性タイプをそろえています。いずれも室温で長期間機能が失われない点も、生産性や経済性の面から高く評価されています。
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このような実績に対して、「2002年度高分子学会賞(技術)」「2003年度全国発明表彰特別賞(内閣総理大臣発明賞)」など、数々の賞に輝いています。
また、「アニソルム」の用途としては、液晶パネルだけでなく、プラズマディスプレイパネル(PDP)や有機ELパネルにも使用でき、それぞれのパネル特性に合わせた製品開発を行っています。
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※クリックして拡大図をご覧下さい
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■ 取材を終えて
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「一番厄介だったブレークスルー」の瞬間、渡辺さんはボストンにいた。たまたま出張中で、ある技術者と話し込んでいた。話してる最中、会話の内容とカンケイなく確信が訪れたという。何だか推理小説の名探偵のようだ。5年半のトライ&エラーで悶々とし、いつもその問題を抱えてコーヒーを飲み、お風呂に入り、つまり、四六時中考えていた。もちろんブレークスルーの瞬間、先方の技術者とは「エポキシ」も「アニソルム」も話していない。
「話してるときにカチッと確信ができた」と渡辺さんは表現する。エポキシに代わる新しい樹脂がカチッと定まった。そのカチッが素晴しいと思うのだ。名探偵で言うなら真犯人の名前がカチッとロックオンされた瞬間。
ちなみにボストンは渡辺さんが80年代後半、2年ほど留学した思い出の地で、息子さんはそこで生まれている。たぶん渡辺さんにとって運勢のひらける、ゲンのいい土地なのだ。今年はレッドソックスが大旋風を巻き起こした。
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(取材・文 えのきど いちろう)

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